単一労センター(CUT)が全国15カ所で非正規雇用契約法案(Lei da Terceirizacao)反対のためのデモを展開した7日、ブラジリアでは、下院での同法案審議中に議会前広場でデモ隊と警察の衝突が起きたと8日付伯字紙が報じている。
エスタード紙によれば議会前に集まったデモ隊は軍警発表で2500人、CUTは5千人と発表している(フォーリャ紙では軍警発表2千人、CUT発表4千人)。
衝突は、デモ隊の街宣車が議会に押し寄せるのを食い止めるために隊列を組んていた軍警が催涙ガス弾などを使用した後に、デモ隊が石や木片を投げ始めたことで発生した。軍警は警棒や催涙ガス、マスタード・ガスで応戦した。
この衝突で、労働者党(PT)元下院リーダーのビセンチーニョ下議が催涙ガスを受け、ポルテーラ下議(共和党・PR)も口に切り傷を負った他、軍警3人(エスタード紙より、フォーリャ紙は2人)とデモ隊参加者2人が下院医務室で手当てを受けた。
エドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)は、CUTに先導されて議会侵入を図ったデモ隊を「野蛮人」と呼び、強く非難した。リオ市の同議長の事務所前にも、非正規雇用契約法案に反対する集団が現われたという。今回の衝突を受けて議会の警備は強化され、傍聴席は閉鎖された。
同議長は、非正規雇用契約法案議決の正当性を主張し、「選挙で選ばれた議員にはこの法案を議会にかけ、実行する権利がある」とした上、「抗議行動そのものは正当性があるが、暴力は許されない」と続けた。同氏はさらに、「同法案の条文23のうち、19は労働者を守るものだ」とも強調した。
同議長によると、デモ隊と軍警の衝突に関わった下議は暴徒扇動の罪で処罰されるという。「デモ隊を刺激して破壊行動や議会への侵入を起こさせた議員は写真や防犯カメラに写っており、捜査を受ける」とした。
労働者達は、業務の外注や派遣社員制度が普及すれば、労働者の権利が損なわれ、雇用も不安定になる、作業の安全などが保証されなくなるなどの不安や不満ゆえに同法案に反対している。