3月15日の抗議行動に比べて3分の1の参加者数だったとはいえ、12日のサンパウロ市27万人も十分に多い。現場で驚いたのは、前回よりジウマ弾劾やルーラ批判が多く、軍介入を擁護する街宣車が2台もおり、外国メディア向けなのかポ語と英語で演説していたことだ▼でも、いくらジウマ弾劾を叫んでも、それに必要な法的根拠(犯罪の証拠)はない。どんなに多くの民衆が弾劾を叫んだところで徒労に終わる可能性が高い。今回のデモは「政党不信」が強く、どの党も寄せ付けないために、今後の戦略が見えないのが問題だ▼デモの主張を国政に反映させるには本来、代弁者たる政治家が必要だ。どんなに沢山の市民が集まっても政治に反映されない、叫んでも何も変わらないのであれば、民衆はいずれ虚無感に包まれる。ジウマからすれば、いくら支持率が低くても辞任する法的な義務はない。「次の選挙までに国民は忘れる」と期待しているのかも▼ただしラバ・ジャット作戦がジウマやルーラの捜査にまで及べば弾劾は一気に現実味を帯びる。12日付オ・グローボ紙サイトには「LJ作戦で逮捕されたオデブレヒト社幹部が報償付き供述(司法取引)をしており、13年に社費でルーラを〃隠密飛行〃でキューバへ連れて行ったと証言」の記事が掲載され、前大統領逮捕の可能性を報じた。前大統領とはいえ、今は議員ですらなく一般市民。捜査されてもおかしくない▼これからが本番なのだろう。歴史家マルコ・アントニオ・ビラは「ジウマは大統領官邸でクリスマスの七面鳥を食べることはないだろう」と公言している。果たしてこの予言は実現するのか? (深)