16日朝、下院では19日の「先住民の日」への顕彰の意味の特別セッションが開かれ、大勢の先住民が先住民独特のダンスとリズムを披露して人々の注目を集めた。
こうした光景に慣れていない方は「議会の場でコスプレ?」と思われるかもしれないが、ブラジルではこうした光景は決して珍しくない。北・中・南米では今も部族単位で暮らす先住民がかなりおり、ブラジルでも各地に先住民の保護区がある。保護区を離れ、街で暮らす先住民も相当数いるという。
「先住民の日」がある4月は「先住民月間」でもあり、ブラジリアでは毎年、全国の先住民が集まり、議会や委員会で先住民の権利や窮状などを訴えたりするのが恒例となっている。少数派の先住民は長い間差別を受けてきたこともあり、人権問題には敏感で、自分たちの権利が侵されるような出来事があると、民族衣装に身を包み、議会に押しかけることもある。時には半裸で手に槍を持って登場することもあるため、驚いて逃げ出す議員もいるほどだ。
議会に大挙した先住民たちは、先住民保護区を定める管轄を変えるとの憲法改正法案に抗議するため、14日から、省庁ビルが集まるエスプレナダ・ドス・ミニステリオス(省庁の散歩道)の真ん中にある芝生でキャンプを張ったメンバーだ。
先住民保護区の制定は法務省直轄の国立インジオ保護財団(Funai)の管轄だったが、問題の憲法改正案は、この管轄を議会に移すといった条項を含んでいる。
先住民のリーダーたちは15日に下院議長のエドゥアルド・クーニャ氏と会い、保護区の制定は従来通り、法務省の管轄とし、この憲法改正案を棚上げするよう申し入れた。クーニャ氏はこれに対し、憲法改正案の承認は決して急いでおらず、まず特別委員会を開いて内容を検討し、その後に本会議で審議されることになると説明した。そして、「抗議をしたければまず、投票に関わる議員が属す政党のリーダーたちに当たれ」と語ったという。
これに対し、バイア州南部のパタショ 族の酋長のナイウトン・ムニス氏は、「私たちは引き下がらない。この問題は先住民を交えて話し合われるべきもので、我々先住民と下院議員による委員会の設置を求めたい。それが出来ない場合は、10月に5~6千人の先住民を引き連れてここに戻ってくる」と語っている。
先住民たちは、16日午後、下院で開催された「少数民族ならびに人権問題委員会」の公聴会にも出席。同委員会委員長のパウロ・ピメンタ下議(労働者党・PT)は、「先住民月間の4月は、公聴会や議員たちとの会合、抗議行動などが繰り広げられ、行政、立法、司法の三権が、先住民たちの生の声を聞く機会が設けられる。この委員会には少数派の人々の権利を守り、擁護する責任があり、彼らの声を聞くと共に、彼らが直面するであろう緊張を解きほぐし、仲介する責任を負っている」と述べている。(16日付ポルタル・ヴェルメーリョより)