サッカーのクラブチーム南米一を決めるリベルタドーレス杯の一次リーグが終了し、16強が出揃った。
ブラジル勢の中で、最終戦の前に16強入りを決めていたのはコリンチャンスのみ。残る4チームはグループ2位以内を確保するために、「勝利が必要」「引き分け以上が必要」「2点差以上の勝利が必要」など、厳しい条件のもとに置かれていた。
中でも2年前の王者、Jリーグのセレッソ大阪元監督のレヴィー・クルピ氏が率いるアトレチコ・ミネイロは、ホームで優勝経験のあるチリのコロコロ相手に「2点差以上の勝利が必要」という状況に追い詰められていた。
前半早々に先制するも、後半にPKを失敗するなど、万事休すかと思われたが、残り10分に追加点を奪い、難解なミッション〃2x0〃を見事クリアして逆転突破を決めた。思えばこのチーム、2年前の南米制覇の時も「2点が必要」なら2点、昨年のブラジル杯も「4点が必要」なら4点をもぎ取って優勝している。カップ戦での勝負強さは一級品だ。
結局ブラジル勢は全て16強に残ったが、コリンチャンスを除く4チームは、いきなり初戦で対戦し、潰し合いをする事となった。
決勝トーナメントの組み合わせは、八つのグループリーグの1位通過者の中で1番成績の良いチーム対2位通過の中で8番目のチーム、1位の2番対2位の7番、1位の3番対2位の6番というようにタスキがけで決まっていく。
これで理論上は、強いチームが実力の劣るチームに当たり有利になるはずが、今年は実力が高いチームがそのまま突っ走るケースと、本来の実力を出せず青息吐息で突破するケースが混在し、1回戦から強豪同士の潰し合いが続出した。
アルゼンチンなどは、黄金カードのボカ対リーベルが1回戦で実現し、6連勝で突破したボカには全く浮かばれない組み合わせになった。ブラジル勢もサンパウロFCとクルゼイロ、インテルとアトレチコ・ミネイロが直接ぶつかってしまう。
漁夫の利を得たコリンチャンスは、4月11日にエースのゲレーロがデング熱で戦列を離れて以来、チーム力が大幅に低下しており、対戦相手よりも、開催日程に気を揉んでいた。
4月29日(水)に行われる可能性のあった一回戦も、「政治力が功を奏し(?)」、5月6日(水)になった。23日に退院したばかりのゲレーロは充分に回復期間をとれて、チーム首脳はニンマリか。
4月23日には今年のクラブワールドカップも日本開催に決まった。ブラジル勢は3チーム(サンパウロ92、93、05・インテル06・コリンチャンス12)が日本で世界一を勝ち取った経験があり、験のいい日本で「夢よもう一度」と燃えている。南米一そしてその先の世界一を目指す過酷なトーナメントはまだ道のり半ばだ(規)