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立ち並ぶ聖市のアパート群(Kelsen Fernandes/Fotos Públicas)
立ち並ぶ聖市のアパート群(Kelsen Fernandes/Fotos Públicas)

持ち家の夢また遠のく?=連邦貯蓄銀が基準変更=中古物件への融資50%に=民間銀行もいずれ同調か

 連邦貯蓄銀行(Caixa)が27日、5月4日以降の中古家屋購入者への融資を購入価格の50%までとする事を決めたと27日付アジェンシア・ブラジルや28日付伯字各紙が報じた。これにより、中古家屋購入予定者は購入価格の半分を頭金として納めるか、民間銀行の融資を利用する必要が生じる。

 連邦貯蓄銀行は住宅購入用の融資の7割を担っており、1月19日の不動産購入用融資の返済利息引き上げは他行の利息引き上げも招いた。今回の融資上限引き下げで持ち家の夢は更に遠のく。
 融資上限引き下げの理由は、住宅用の融資の元金となる貯蓄預金(ポウパンサ)が減った事だ。ポウパンサは今年既に230億レアルの出超で、住宅購入用の融資の枠が縮小された上、住宅金融システム(SFH)による融資上限は80%が50%、不動産金融システム(SFI)による融資上限は70%が40%に引き下げられる。
 SFHは市場より低金利かつ最大30年の長期返済で最大45万レアルを融資するシステムで、返済には勤続期間保障基金(FGTS)も利用できる。SFHで50万レアルの家を購入する時の頭金は、現行基準では10万レアルで足りるが、新基準では25万レアルが必要となる。
 SFIの方は家屋や土地の価格、融資額にも上限がないが、FGTSの使用は認められない。SFIで80万レアルの家を購入する場合、現在の頭金は24万レアルでよいが、5月以降は48万レアルが必要となる。
 不動産関係の融資の返済利息の平均年利は、公的銀行が6・03~7・15%、民間銀行は7・68~9・77%だから、頭金を用意できなければ高金利覚悟で民間銀行に頼る必要が生じる。
 ただし、ポウパンサの預金額低下は、経済基本金利(Selic)引き上げで投資ファンドに振り代えるケースよりも、負債解消やインフレ高騰による購買力低下を補うための預金引き出しの影響が大きく、民間銀行でも今年中に融資枠縮小や融資上限の引き下げが起きる可能性が高い。
 連邦貯蓄銀行は、今回の基準変更は中古家屋購入用の融資限定だから新築家屋の購入には影響しないというが、現在住んでいる家を売って新築家屋を購入する予定だと、現在の家が売れないから新しい家が買えないという問題も起こりうる。
 今回の措置は住宅購入予定者のみならず、住宅販売業者や建築業者にも頭痛の種となりそうだ。