中央銀行の通貨政策委員会が4月29日、経済基本金利(Selic)を年13・25%に引き上げたと同30日付伯字紙が報じた。
基本金利の引き上げはインフレ抑制の切り札とされてきたが、現在のブラジルのインフレは1月1・24%、2月、3月も1・22%、1・32%と昂進し、12カ月の累積が8%を超えている。現在は電気代などの政府統制価格が主なインフレ圧力となっており、市場では、年末までに政府目標上限の年6・5%に戻すのは困難との見方が広がっている。
市場関係者がインフレ同様に懸念するのは、今回0・5%ポイント引き上げられ、13・75%だった2008年12月以来の高水準となった基本金利が、経済の回復を妨げる事だ。3月の失業率は6・2%に上昇、その一方、平均給与は2・8%縮小など、最近の経済指数は景気の悪化を示唆するものが多いのに、基本金利が上がれば、融資を受けてでも新規投資をと考える企業や、ローンで何かを購入したい消費者も二の足を踏む。
国政レベルでも、国債の返済や利息支払いのため、基礎的財政収支の黒字額を充分確保しなければならなくなるが、第1四半期の中央政府関連の基礎収支黒字額は17年間で最低の44億8千万レアルで、国内総生産の0・32%に止まった。
ただ、投資ファンド利用者には、大半の場合に貯蓄預金(ポウパンサ)より利率が良くなるため、朗報となる。