ブラジル内がペトロブラス贈収賄疑惑(以下PB疑惑)に揺れる中、その余波は地球の反対側の日本国内にも及んでいる。日伯両国での報道によれば、資産売却を目的とするPBの日本事業撤退に伴い、子会社であり、県内シェア6割を持つ南西石油(沖縄県西原町)の石油精製事業の中止が実行された。それにより、同社従業員の失業問題や製造中止による県内への石油製品の供給問題が浮上している。
琉球新報4月29日付電子版によれば《ブラジルの国営石油企業ペトロブラスの沖縄撤退に伴い、南西石油は28日、製油所の運転停止の作業を始めたと発表した。29日まで2日間かけて運転を停止する》とされる。
PBの日本事業撤退は3月27日にすでに発表されており、今回は製油施設の停止が実際に行なわれた。オ・グローボ紙電子版4月28日付は《停止期間は未定。どのように売却するかも発表していない》と報じた。同記事よれば、南西石油は08年4月に東燃ゼネラル石油から7100万ドルで買収され、環境対策や設備改良などに2千万ドルが投資されたという。
これは、現在ラバ・ジャット作戦で自宅拘禁中のパウロ・ロベルト・コスタ供給部長、逮捕済みのネストル・セルベロ国際部長の時代に行なわれた取引き。当時、日本国内でエタノール等への需要が高まることを予想し、アジア地域での取引き拠点となる戦略が説明されていた。同じPB幹部による06年の米国テキサスのパサデナ製油所買収では、7億9200万ドルもの損害があったと大問題になっている。
石油価格の低迷と日本国内での需要減退に加え、日本経済新聞4月27日付電子版は《ペトロブラスは巨大な汚職疑惑による資金調達難や原油価格の急落を受け、今後2年で137億ドル(約1兆6千億)規模の資産売却に踏み切る方針を打ち出している》と売却収入を目的としている。
南西石油は石油の精製(製造)と貯蔵、販売の3つの部門を持つ。毎日新聞電子版4月29日付は《従業員192人の大部分は製造部門に従事しており、雇用対策について同社広報は「事業撤退の決定を受け、従業員の自主退職推進プログラムを実施する予定」と説明した》とし、退職後の再就職が問題視されている。
日本経済新聞3月27日付電子版によれば、西南石油は《ガソリンや軽油など石油製品の沖縄の需要の6割をまかなっている》とされ、石油製造中止による県内供給の混乱が危惧される。琉球新報4月29日付電子版も《石油精製を完全に廃止し、県外で精製された石油製品を移入して貯蔵・販売するターミナル機能だけを継続する》と書く。
琉球新報同29日付電子版によれば《製油所の廃止や譲渡先について同社は「ペトロブラスは事業譲渡の交渉を進めており、譲渡先や譲渡の時期は未定」と回答した》とされ、買収先の企業はまだ白紙の様子。
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