労働者の日( メーデー)の1日、サンパウロ市中央部で開かれた中央労組(CUT)の集会でルーラ前大統領が演説に立ち、連邦検察庁が開始した大手建設会社の事業契約を巡る捜査でルーラ氏や社会経済開発銀行(BNDES)の名前が出ていると報じたエポカ誌の報道に対し、エリートやメディアを批判する発言を行ったと2日付伯字紙が報じた。
4月30日発売のエポカ誌が報じたのは、ルーラ氏が大統領職退任後も連邦政府や労働者党(PT)内での影響力を保ち、国際的な事業契約で大手建設会社の便宜を図った疑いで検察庁が捜査を開始したという内容だ。
言い換えれば、ルーラ氏は2011年1月にジウマ大統領に大統領職を譲った後もルーラ研究所を拠点に実権を振るい、ラ米やアフリカの首脳と共にブラジル企業の便宜を図っていた上、BNDESに低金利で融資させていた疑いがあるという。
疑惑の対象となっているのは、BNDESの融資を受け、ベネズエラやキューバ、ドミニカ、ガーナといった国々で展開されている事業で、便宜が図られたと見られる企業の代表は、BNDESからの融資額トップの建設大手オデブレヒトなどだ。
ルーラ氏の旅費の大半はオデブレヒトが払っており、ルーラ氏が講演を行ったり現地の指導者と会った後に事業契約を締結。融資最大手はルーラ氏の息のかかったルシアノ・コウチーニョ氏が総裁を務めていたBNDESで、ここでもルーラ氏がロビー活動を行っていた可能性が強い。
PTやルーラ氏と繋がりが深い国でオデブレヒトが請け負った事業は空港や港湾、道路その他の近代化工事などで、BNDESからの融資額は41億ドルに上る。11~14年に同社が旅費を支払った国々での事業への低金利の融資額は16億ドルで、上院の調査によれば、同社が2014年に締結した事業向けに受けた融資8億4800万ドル中、42%はBNDESが貸し付けている。コウチーニョ氏は在任中に検察庁や会計検査院、議会からの要請を受けたが、融資の実態を明らかにしなかったという。
検察庁は4月後半から、これら大手企業が国内外で結んだ事業契約でルーラ氏やBNDESが役割を果たしていた役割などを捜査中だ。オデブレヒトは連警のラヴァ・ジャット作戦でも、ペトロブラスを巡る汚職で摘発されている。
エポカ誌の報道にはロイター、タイムスなどの国際メディアも注目、週末の紙面を賑わせた。
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