ホーム | ブラジル国内ニュース | デング熱=既に年間死者数の記録更新=全国では毎分5人の感染者=他の伝染病も増加の兆し
廃棄タイヤの内側に溜まった水は蚊が湧きやすく注意が必要(Jaelson Lucas/SMCS)
廃棄タイヤの内側に溜まった水は蚊が湧きやすく注意が必要(Jaelson Lucas/SMCS)

デング熱=既に年間死者数の記録更新=全国では毎分5人の感染者=他の伝染病も増加の兆し

 保健省の最新の伝染病報告書によると、1月4日~4月18日の15週間のサンパウロ州でのデング熱による死者は、過去最悪だった2010年の141人を上回る169人に達したと4日付エスタード紙が報じている。
 4月18日までの統計によると、ブラジルでは1分あたり4・9人余りのペースで感染者が出ており、総計74万5千900人のデング熱感染者が確認されている。
 デング熱の発症はサンパウロ州に集中しているが、他の州も楽観できる状況ではない。ブラジル全体の人口10万人あたりの感染者数は367・9人(サンパウロ州では同911・9人)で、国際保健機構の「伝染病」の基準(10万人あたり300人)を超えた。デング熱患者が死に至るのは複合症により、小児や高齢者、慢性病を抱えた患者は、死に至る危険性が高い。
 サンパウロ州はこれまでで最悪のデング熱感染に苦しんでいる。死者数以外にも、「感染の疑いがもたれる件数」は40万1564件で、これは昨年の同じ時期の4・79倍だ。「死者数」の上昇率はさらに大きく、今年の169人は昨年の35人の4・82倍にあたる。サンパウロ州保健局によると、サンパウロ州での流行はソロカバ市やカンピーナス市周辺と、サンパウロ州北西部を中心に起こっている。
 デング熱の流行の影に隠れているが、デング熱と同じ熱帯シマダラ蚊〃アエデス・アエジプチ〃が媒介するチクングンヤ熱も着実に感染が拡大している。保健省は昨年9月以降、6209人が感染した(確認済みは4288人)というが、実際の数はもっと多いと見られている。「南麻州で流行しているという事はサンパウロ州も安心できないということを示している」とカルロス・マグノ・フォルタレーザ感染症医は語る。
 チクングンヤ熱の初期症状はデング熱と多くの点で似ているが、関節の痛みが数カ月から数年も続くという点に大きな違いがある。
 また、バイア州で初の患者が確認されたジカ・ウイルスも同じ蚊が媒介し、熱、下痢、関節痛、斑点とかゆみなど、類似の症状が出るが、ウイルスはデング熱より弱く、症状も穏やかだという。