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家庭内労働従事者にも他の業種と同様の社会保障制度が整備される(Marcos Santos/USP Imagens)
家庭内労働従事者にも他の業種と同様の社会保障制度が整備される(Marcos Santos/USP Imagens)

家庭内労働者の権利拡充=雇用者の負担も明確化=他業種との待遇差解消へ

 家政婦やベビーシッター、料理人、庭師、運転手、高齢者介護員などの家庭内労働従事者の権利を規定する法案が6日の上院本会議で承認され、ジウマ大統領の裁可を待つのみとなった。同法案は裁可から120日後に発効となる。
 2年に及ぶ議論の末に採択された法案には、国立社会保険院(INSS)に納めるFGTS(勤続期間保障基金)の雇用者負担額を賃金の8%とする事なども含まれた。雇用者の負担率は、下院が承認し、政府が維持を望んでいた12%より引き下げられた。また、月0・8%の労災保険の徴収も定められた。
 今回意見が割れたのは、正当な理由無しに解雇された労働者の補償問題だ。最終的には、雇用者が労働者の給料の3・2%を基金として積み立て、正当な理由無く解雇された際に労働者が引き出せるとする案が採択された。
 FGTSは被雇用者も8%負担するため、FGTS分計16%と不当解雇補償(3・2%)、労災(0・8%)の総額(賃金の20%)は、家庭内労働者用に作られた簡便書式で納入できる。
 週の労働時間上限は44時間で、それを超えた場合、各月最初の40時間分の手当ては現金で支払わなくてはならない。それを超えた場合は、雇用者と労働者の協議により、1年分の累計を休暇として与える事で差し引きする事とする。
 13年以降、家庭内労働者に対し、多くの恩恵が認められたが、それでも欠けていた、扶養家族手当や夜間労働従事者への給与割り増し、失業保険の利用など、更に具体的な規定が設けられた事になる。同法案では、家庭内労働従事者を雇う人がINSSへの納付額を控除対象額の一つとして確定申告を行う事も認めている。
 上院での審議は3時間以上かかったが、家庭内労働従事者組合の代表者らは全ての審議を傍聴した。レナン・カリェイロス上院議長(民主運動党・PMDB)は、「これまで家庭内労働者が置かれていた〃奴隷〃のような労働条件をやっと廃止できる」と法案の可決を喜んだ。