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財政調整暫定令可決に抗議する労組フォルサ・シンジカルの組合員(Marcelo Camargo/Agência Brasil)
財政調整暫定令可決に抗議する労組フォルサ・シンジカルの組合員(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

財政調整案が下院通過=連立から造反で僅差の可決=与党から造反者制裁求む声

 6日の下院本会議で最初の財政調整案の基本条文が賛成252、反対227の僅差で承認された翌7日、連立与党党首と大統領の側近は、ジウマ大統領にマノエル・ジアス労相(民主労働党・PDT)の更迭を求める事を決めた。

 7日付伯字紙によると、PDT下議は6日、「失業保険受給のための就業期間を6カ月から12カ月に引き上げる暫定令(MP)665号は労働者の利益を制限する」とし、19人全員が反対票を投じた。この事は、ジアス労相に対する連立与党と閣僚の評価を大いに揺るがした。
 連立与党や閣僚達の不満は、ミシェル・テメル副大統領(民主運動党・PMDB)によってジウマ大統領に伝えられた。ジウマ大統領はこの問題について、近日中に検討する意向を示した。
 他の連立与党や閣僚は「みせしめ」としてのジアス労相更迭を期待しているが、更迭の有無は他の財政調整案が全て決議にかけられてから決まる見込みだ。
 今後協議される財政調整案は、遺族年金の支払いに制限を設けるMP664号や、雇用主が国立社会保険院(INSS)に払う社会保障関係の納付金の算定基準を従業員の賃金総額ではなく月々の収益とする、第一期政権が導入した案の納付率を、現行の1~2%から倍以上に引き上げる法案(PL)などだ。
 ジウマ大統領の側近からは、数人の議員が与党の方針に反対するのはまだいいとしても、PDTのように集団で離反する行為は許しがたいとの声が出ている。
 ジアス労相更迭の場合は労働者党(PT)がその職を引き継ぐとの声も挙がる中、同労相は広報を通じて、今回の投票はPDTとしての行動ではなく、個々の議員の判断の結果で、自らはMP665号と664号に賛成であることを示した。
 6日に基本条文が承認されたMP665号は、7日に修正動議の審議が行われたが、民主党(DEM)提出の失業保険受給資格厳格化撤廃などの動議は全て、6日の25票差よりも大きな差で否決され、基本条文がそのまま上院に送られる。
 政府側は多少の造反は織り込み済みだったが、6日の審議では、PDTが19人全員反対、進歩党(PP)は40人中18人が反対し1人欠席、ブラジル労働党(PTB)も25人中11人が反対し2人欠席など、連立与党内の造反が目立った。PDTとPPは局部長クラスの人事の対象から外される見込みだ。
 一方、6日の審議で22人中8人が賛成したDEMでは、党首のロナウド・カイアード上議が文書で国民に財政調整暫定令の可決をわび、下院議員のふるまいは「なげかわし」く、「ブラジル民に対する裏切り」と述べた。