ブラジル政府派遣留学生「国境なき科学」計画で芝浦工業大学(東京、以下「芝浦工大」)に留学していたブラジル人学生Aさん(20)から「英語の授業が少なく、中には日本語で説明して英語のレジュメ(要約)を渡すだけのもあった」「学生割引の定期券が使えない」などの苦情が編集部に寄せられ、同大学からわざわざ留学生担当の国際部部長らが説明に来伯した件を3月27日付で報じた。この件に関する他の留学生の父親からの反論が寄せられた。
留学生アウレリオ・イケフチ・パルジギノさんの父エウクリデス・パルジギノさん(47)=サンパウロ市在住=は電話取材に、「芝浦工大の授業や待遇に関して、息子が苦情を言ったのを聞いたことは一度もない。研究室での活動も充実しており、留学生活を楽しんでいた。留学生の大半がそうだったのではないか。記事にあるような学生はいたかも知れないが、少数だと思う」と断言した。
アウレリオさんはパラナ州立マリンガ大学から「国境なき科学」で芝浦工大留学中の昨年11月19日、心筋梗塞により意識不明になり、応急処置により20分後に心拍再開したが入院した。すぐにエウクリデスさんのところに芝浦工大、在京ブラジル総領事館、日本力行会(宿舎)それぞれから電話連絡があり、当地連邦警察でも緊急パスポートを発行した。
その結果、エウクリデスさんは23日には成田空港につき、その足で板橋病院に直接に駆けつけた。「あの時の際の対応はまさに非の付け所がない、本当に立派なものだった。迅速な連絡をもらい、私が駆けつけた時はUTIでまだ生きていた」と思い出す。
しかし、翌日再び心拍停止し、再開することはなかった。
エウクリデスさんは「あの記事に出てきた丁龍鎮(チョン・ヨンジン)国際部長もお見舞いに来てくれ、何くれとなく助けてくれた。彼の配慮で、息子の通夜や葬儀の時に留学生仲間は授業を休んで参加することができた。帰伯する2日前にもお悔やみの電話をもらった。私の場合は、何一つ苦情はない。むしろ心からの感謝の言葉を贈りたい」と振りかえった。
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