「母に優しい国」のランキングを毎年発表するNGOセーブ・ザ・チルドレンによれば、日本は昨年同様、179カ国中32位。5歳未満の子どもの死亡率や妊産婦の死亡リスクなど五つの指標があり、女性や子どもが暮らしやすい社会づくりにつながる女性議員の割合が11・6%と下位であることがランクを押し下げた。上位は北欧諸国が占める。日本の女性の社会的地位は決して高いものではないのはブラジルと比べても確か。今週末の「母の日」を受けたものだが、母を思う気持ちは順位をつけられるものではないだろう▼とはいえ、「母の日」の浸透度は比べられない。コラム子の場合でいうと、日本にいるときは認識すらなかったし、贈り物をした記憶もない。コマーシャリズムに乗せられるのが嫌だったせいもあるのだが、「よい母の日を!」と声を掛け合うブラジルの感覚に、いまだに感心している▼とはいえ郷里を長く離れていると、誕生日以外に感謝の意を表する機会もないので数年、花を贈っていた。ふと思い立ち今年は山形のサクランボにしてみた。いつもお礼と共に送られてくる写真を見ると、すでに数粒が食べられていた。思わず口にした後で、写真を撮ることを思い出したらしいのだが、遠く離れた老母の食欲に一安心▼このたび文協会長に就任した呉屋春美さんは今月、85歳の母ツル子さんと沖縄へ。1958年の移住以来、共に古里に戻るのは初めてだとか。「母の日」とは関係ないが、最高の親孝行だ。コロニアの重職に御母堂も心配の種が増えたわけだが、それはさておき。親類縁者を前に誇らしい帰郷となることは間違いない。(剛)