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農業畑の議員たちとの会合に出席したレヴィ財相(右、José Cruz/Agência Brasil)
農業畑の議員たちとの会合に出席したレヴィ財相(右、José Cruz/Agência Brasil)

財政調整の影響が表面化=看板政策も支出が縮小=未払い分の清算は進むも=予算削減公表は2週間後か

 ジョアキン・レヴィ財相らが推し進めている財政調整により、連邦政府関連の第1四半期の支出は、看板政策のはずの基幹構造(インフラ)工事や社会プログラムでも大幅に抑制されたと10日付伯字紙が報じた。

 基礎的財政収支の黒字目標達成により国際的な信用を回復するため、レヴィ財相らは昨年来、減税措置撤廃や失業保険の受給資格などを厳密化する暫定令(MP)665号などを次々に発表、連邦政府の支出の大幅削減も打ち出していた。
 15年度予算案承認が遅れた事もあり、レヴィ財相らは各省庁の各月支出枠を予算案の18分の1とする事を提唱していたが、1~3月の支出を見ると、社会保障費が昨年同期比5・1%、高齢者や障害者支援諸費が同8・9%増だった他は、人件費、失業保険などの削減困難な項目も含む支出が軒並み、昨年同期を下回った。
 MP665号などの財政調整案は基礎的収支黒字663億レアルという目標達成への一里塚で、レヴィ財相も先週、「財政調整案の審議結果がそれ以外の動きを決める」と発言していた。
 MP665号は6、7日の下院で承認され、今週中に上院での審議に回され、遺族年金などを扱うMP664号その他も順次、審議が進められる予定だが、予算承認が4月にもつれ込み、財政調整案承認も遅れる中、政府が取りうる支出削減策は事業開始や支払いの先送りという形となる。
 社会開発省や農業開発省など7省庁と国庫庁、総弁護庁は5月4日までの支出がゼロ。それ以外の省庁も運輸省が予算の6・3%相当の11億8400万レアルを支出したのが最高で、経済活性化計画(PAC)経費は昨年同期比37・3%、電力補助費も同57・5%縮小している。
 現時点までの政府支出は、昨年までの予算計上分だが実行が遅れたり支払いが遅れたりしていたものが大半で、持ち家政策のミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ関係の経費は最大45日、12億レアルの支払いが遅れている。
 今年の予算削減案は財政調整関係の法案審議なども見極め、5月末に発表される予定だが、総額663億レアルの基礎的収支黒字という目標に対し、第1四半期の黒字額は190億レアルに止まり、思い切った削減案が出される見込みだ。11日付エスタード紙によれば、財政調整のための法案が全て承認されても、今年の税収額は当初見積もりの1千億レアルの半分以下の475億レアル増に止まる見込みで、その差も埋める予算削減案となると、かなり大鉈を振るう必要が出てくる。各省庁は、使える予算額が確定しないために事業が停滞していると苦言を呈している。