ホーム | 連載 | 2015年 | 第42回県連故郷巡り=時を遡る―奥パからノロ線へ | 第42回県連故郷巡り=時を遡る―奥パからノロ線へ=第9回=ドラセーナ/リンス=「日系団体のあり方のモデル」=戦後の町から移民開始地点へ

第42回県連故郷巡り=時を遡る―奥パからノロ線へ=第9回=ドラセーナ/リンス=「日系団体のあり方のモデル」=戦後の町から移民開始地点へ

リンス西本願寺の婦人部の皆さん

リンス西本願寺の婦人部の皆さん

 元会長の仲里パウロ幸善さんは「父から沖縄文化の話を沢山聞いた。父はブラジル人の宗教を信仰しなさいというので、カトリックになった。私が文協会長時代(2010―11年)に、和太鼓をやろうという話が持ち上がり始めた。移民祭りも『日系コロニアだけに固まらず、ブラジル人に日本文化を広めよう』と2010年から始まった。今ではブラジル人から『いつやるんだ』とよく聞かれるぐらい、町中が楽しみに待っているよ」という。
 ドラセーナに関し、一行の沖邑純雄さん(おきむら・すみお、66、二世)は「トロフィーがいっぱい置いてあって驚いたね。ゲートボール、カラオケ、和太鼓、盛んなんだとよく分かった」との感想をのべた。妻ヘレナさん(63、二世)も「太鼓の迫力のすごさに度肝を抜かれた」。
 斎藤ラファエラさん(64、二世)も「ジュンケイロポリスの図書館はたった7冊から初めて、あんなに立派になったのに驚いたわ」と語った。

曽我善成さん

曽我善成さん

 一行の曽我善成さん(よしなり、77、岐阜)は、「ジュンケイロポリスでは図書館使いたさにガイジンが入会し、ドラセーナでは若者が活躍している。いずれにせよ、若い人が集まる施設でないと将来はない。二つともこれからの日系団体のあり方を考えさせるモデルだと思ったね」としみじみ語った。
    ◎
 ドラセーナからノロエステのリンス(人口7万5千人、1920年創立)へ――3月29日に223キロも東へ移動した時、まるでグルグルと時計を逆回ししたような感覚を覚えた。戦後に発展した町から、ノロエステ線の一番初めの地点カフェランジアやリンスという、約一世紀の歴史を持つ伝統ある場所に来たからだ。
 リンス西本願寺では宗門代表3期目を務める安永和教さん(68、三世)が先頭となり、信徒の方が総出で出迎えてた。「三世が68歳」という事実が、この地域の歴史を物語っている。
 隣のプロミッソンに住む和教さんは元リンス文協会長でもあり、「今年はリンス市制95周年、移民107年、お寺の60周年のお祝いも5月16、17日にやります」と伝統を感じさせる言葉をのべた。
 同じ安永家の考道さん(こうどう、71、三世)も「安永家はブラジルに来た初代良耕おじいさんの時代からの西本願寺を支えてきました。ここから30キロの平野植民地も今年8月に百周年をやりますよ。お寺の改修や会館の拡張を一生懸命やってます」とお寺との深い関係を強調した。(つづく、深沢正雪記者)