連邦直轄区の警官が、子供に食べさせたくて肉を盗んだ男の話に心打たれて保釈金を払い、食料品などを贈ったと14日付G1サイトが報じた。ゴイアス州東部在住のマリオ・フェレイラ・リーマさんは、事故で健康を損ねた妻が前の夫との子供のところに身を寄せて以来、男手一つで12歳の息子を育てている。
マリオさんは13日午後、生活扶助(ボウサ・ファミリア)70レアルが振り込まれていると信じ、連邦直轄区のスーパーでパンやチーズ、肉、バナナなどを買おうとしたが、口座残金は14レアルで、全部買えないと知り、2キロで26レアルの肉をカバンに入れてしまった。
警察に連行されたマリオさんは到着直後に気を失い、心配した警官に、「家にあったパンは息子に食べさせたため、2日間何も食べていない」と答えた。正規雇用の電気技師だったが、事故で昏睡状態となった妻を8カ月間看病していて失業した事や、朝は子供の世話をし、午後からは仕事を探していたが、ここ2カ月は仕事もなく、食うや食わずと聞いた警官は仲間と相談してカンパを開始。保釈金270レアルも婦警が1人で払った。
警官4人は保釈後のマリオさんと共にスーパーに行ったが、米やフェイジョンなどをかごに入れた後、「歯磨き粉はあるか」と聞くと「歯磨き粉なんて何カ月も使っていない」という。取って来させると一番安くて小さいのを1本持って来たので、「1日でなくなる」とからかい、5本を追加し、石鹸なども買い足した。食料品などの袋は20を超え、マリオさんは何度も何度も感謝の言葉を繰り返したという。
警官の一人は「肉を盗んだのは犯罪だが、話を聞き、何かしてあげたくなった。自分の娘がひもじい思いをしていたら、自分だって何をしたかわからない」と呟いた。
窃盗に関する裁判はまだだが、15日付同サイトによれば、話を聞いた人から食品などが届き、仕事も決まったという。