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ジャーナリストの斬首体=組織犯罪や政治犯罪の専門家

 ミナス・ジェライス州パドレ・パライゾの農村部で18日、ジャーナリストのエヴァニー・ジョゼ・メツケル氏(67)が斬首体となって発見された。遺体は半裸で両手が縛られており、頭部は数時間後に遺体の発見現場から約100メートルの所で発見された。
 メツケル氏の妻で教師のイウマ・シャヴェス・シウヴァ・ボルジェス氏(51)によると、メツケル氏は同地域の組織犯罪や政治犯罪を専門に手がけ、自らの手で調べ上げた情報を基に、記事を書いていたという。
 「あの人は調査活動やそれを基に記事を書き、報道する事に何の恐れも覚えてなかった。いつも危ない地域に入り込んで活動していたのに、恐怖心なんてこれっぽっちもなかったのよ。パドレ・パライゾには90日前、取材に行ったの。あの人はいつも、警察や犯罪、政治、積荷強盗、売春といった重たい内容の事ばかり追っかけてたわ」と言うイウマ氏は、入籍こそしていないが、11年前からメツケル氏と婚姻関係にあった。
 メツケル氏は〃コルージャ・ド・ヴァーレ〃と呼ばれるブログの責任者で、2001年に創刊したメディーナ市の新聞にはいつも、警察や政治家を追いかけた記事を掲載していた。
 「あの人は取材していた事が原因で殺されたのよ。パドレ・パライゾに行く時は何を取材しに行くのかを教えてくれなかったけど、いつも話していた事から見て、きっと危ない事に首を突っ込んで命を狙われたのに違いないわ」と言う。
 最後に連絡をとったのは13日で、「メディーナには15日に帰るつもりで準備している」と話した後、「ちょっと出かけるけどすぐ戻るから話の続きは後で」と言ったきり連絡が途絶えた。
 イウマ氏は翌日連絡を採ろうとしたが何の反応もなく、居所もつかめなかったため、宿泊施設にも電話をかけたが、「旅行中」と言われた。翌日も同じ状態だったため、警察に通報したという。
 警察は情事に巻き込まれた可能性も否定していないが、イウマ氏は「宿泊施設の所有者はメツケルは同じようにブログを書いているジャーナリスト以外部屋に入れなかったと言っている」から、女性問題が原因で殺されたはずはないと言う。
 同州のジャーナリスト組合は19日、州政府に徹底した調査を行い、殺人犯を挙げるよう要請したと発表した。組合側は「今回の事件は当州のジャーナリストだけではなく、ブラジル社会並びに国際社会にまで衝撃を与えた」とし、「ジャーナリストが暴力にさらされれば、社会全体も正しい情報を得る権利を脅かされる」との見解を明らかにした。同州では2013年初頭にも、イパチンガでジャーナリストのロドリゴ・ネット氏とカメラマンのヴァウグネル・カルヴァーリョ氏が殺害されている。
 警察は、犯人は口封じんのためにメツケル氏を殺害したか、情事が絡んだ犯罪と見て捜査を進めているが、メツケル氏の所有物には手がつけられておらず、遺体が人通りもある場所に埋められもせずに放置されていた事や、遺体にはこれといった外傷もない事などから、強盗殺人の可能性は否定している。(20日付G1サイトより)