ホーム | ビジネスニュース | 基礎的収支黒字達成に黄信号=予算削減は699億レ=財相不在の中で発表される=市場も増税は必至と観測
予算削減について説明するバルボーザ企画相(José Cruz/Agência Brasil)
予算削減について説明するバルボーザ企画相(José Cruz/Agência Brasil)

基礎的収支黒字達成に黄信号=予算削減は699億レ=財相不在の中で発表される=市場も増税は必至と観測

 連邦政府が22日、今年の予算を699億レアル削減すると発表した。事前には780億レアル削減案もあっただけに、市場では、この額では基礎的収支の黒字目標達成は厳しく、増税は不可避との見方が出ていると23日付伯字紙が報じた。

 予算削減案はジョアキン・レヴィ財相不在の中で発表され、ジウマ大統領の看板政策の経済活性化計画(PAC)や保健省、教育省の予算が最大の削減対象となった。
 PAC関連の投資カットは257億レ、持ち家政策の〃ミ―ニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ〃も69億レ(エスタード紙より、フォーリャ紙によれば56億レ)で、39%と36%の大幅削減となった。都市省予算は持ち家政策の予算削減などで、172億3200万レ(54・3%)削られた。他の省の削減は、保健省117億7300万レ(11・4%)、教育省94億3千万レ(19・3%)、運輸省57億3400万レ(36・1%)、国防省56億1700万レ(24・8%)、国家統合省21億6200万レ(37・6%)など。削減率が小さいのは国庫庁1%(100万レ)や外務省3・4%(4100万レ)で、最大は水産省78%(5億7400万レ)。
 予算削減案は財政調整法案の審議終了前に発表された事もあり、不確定要素が多い。削減案の説明を行ったネルソン・バルボーザ企画相は、国内総生産(GDP)の成長見通しはマイナス0・9%を同1・2%に引き下げ、インフレ見通しも8・2%を8・3%に引き上げたと発表した。
 同相は、税収は景気後退などで651億レ減る見込みだが、社会保障費の納付率引き上げで45億レの増収を見込んで、支出削減額を699億レにしたと説明したが、社会保障費の納付率に関する法案(PL)は下院で審議中で、否決や修正で納付額縮小や支出拡大の可能性がある。年金や失業保険などの支出削減のための暫定令(MP)664、665号も上院で修正されたり、6月1日までに審議が終わらず無効となる可能性がある。
 諸般の事情を鑑み、780億レという厳しい削減案を唱えていたレヴィ財相は、より温厚な削減案を唱えるバルボーザ企画相やアロイジオ・メルカダンテ官房長官に押し切られた形となったせいか、風邪を理由に予算削減案発表に欠席した。
 レヴィ財相が週末に予算削減案に不満を表明した事もあり、市場では財相辞任説も囁かれた。同相は25日、699億レという額は史上最大でほどほどの額だが、基礎的収支の黒字達成には不十分との見解表明の上、財政調整案審議に向けた議会との調整や増税を含む増収案検討を再開した。