ホーム | ビジネスニュース | メキシコと貿易協定を締結=中南米代表2国で巻き返しへ=利害一致で薄い関係脱皮=減免税の対象拡大交渉も
26日のジウマ大統領とメキシコのニエト大統領(Roberto Stuckert Filho/PR)
26日のジウマ大統領とメキシコのニエト大統領(Roberto Stuckert Filho/PR)

メキシコと貿易協定を締結=中南米代表2国で巻き返しへ=利害一致で薄い関係脱皮=減免税の対象拡大交渉も

 ジウマ大統領とメキシコのエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領は26日、メキシコ・シティの大統領官邸で、2国間での投資のリスクを減らし、貿易を円滑化するための協定の締結を行うとともに、両国間の貿易をさらに拡大するための交渉を始める意向を表明した。両大統領は、貿易面を強化することで、両国の関係をさらに強化する狙いだ。そこには両国連邦政府や企業の思惑も絡んでいる。26、27日付伯字紙が報じている。

 ブラジルとメキシコは、2国合わせて中南米全体の人口の55%を占め、国内総生産(GDP)でも62%を占める、中南米を代表する2大国家だが、両国の貿易上の結びつきは決して強いものではなかった。
 両国は既に二つの貿易協定を結んでいるが、これらの協定で減免税の対象となっているのは両国が取引を行っている品目のわずか12%で、輸出入の貿易相手国としての比重も、両国共に2%未満で低迷している。14年の輸出状況を見ると、ブラジルが対メキシコで前年比13・25%減、メキシコが対ブラジルで7・45%減となっている。
 これまでは両国共に、インドや韓国など他の新興国相手の貿易に力を入れていたが、14年のGDP成長率はブラジルが0・1%、メキシコが2・1%と低調に終わり、経済のてこ入れが必要とされていた。さらに両国共に、政府が汚職スキャンダルなどで揺れ、国民からの支持率を下げており、その不満の矛先をそらす必要もあった。
 また、企業家の中からも、ブラジル側からは「メキシコでの市場を失っている」、メキシコ側からは「ブラジルの課税の高さが障壁となっている」との不満も出ていた。
 外務省中南米担当のアントニオ・シモンエス副局長によると、新しい貿易協定締結のための交渉は7月からはじまるというが、「半年やそこらではまとまらないだろう」と語っている。争点の一つは、2002年の協定で減免税の対象となった品目の拡大だ。現時点では800品目が関税優遇化の対象で、358品目が免税となっているが、企業家は免税項目の拡大を望んでおり、シモンエス氏もできれば完全自由化をと願っている。新協定には農業生産品や化粧品、繊維、製靴のほか、サービス部門や政府部門まで、6千品目が盛り込まれる可能性がある。
 シモンエス副長官は、メキシコとの協定拡大は他のメルコスル加盟国との関係を危うくするものではないと語っている。またジウマ大統領も、メキシコが主導する太平洋同盟とメルコスルは補完関係にあるべきと主張している。両国大統領は、協定拡大で両国間の貿易は10年以内に倍増することを見込んでいる。