リオ州南部トレース・リオスで5月29日、ブラジル労働党(PTB)名誉党首のロベルト・ジェフェルソン氏(61)とアナ・ルシア・ノヴァエスさんの結婚式が行われた。
ロベルト・ジェフェルソン氏は、2005年に労働者党(PT)政権最初の大型スキャンダルを告発した元下院議員だ。
自らも賄賂を受け取ったとして、収賄と資金洗浄の罪で7年と14日間の実刑判決を受けた同氏は、自宅軟禁に切り替えられた13日後、2002年から交際を続けてきたアナさんと念願の結婚式を挙げた。
癌を患い、特別な食事などを要するジェフェルソン氏だが、メンサロン事件の告発から裁判、服役を経て、自宅軟禁に切り替わるまでの間も変わる事なく自分を支えてくれたアナさんへの尽きる事のない感謝を涙ながらに表した。ジェフェルソン氏が注文したウエディングケーキには、新郎新婦の人形ではなく、ウエディングドレスに身を包んだ女性の人形と、その足元に跪く首輪で繋がれた狼の人形があしらわれていた。
赤いヒールの靴が好きで、式にも赤い靴で臨んだアナさんと赤頭巾ちゃんに出てくる悪い狼を模した人形や、狼の絵を刻んだお菓子類は、辛かった日々も愚痴一つこぼさず、癌の治療を含む一連の支援を惜しまなかったアナさんへの気持ちを如実に示す。
アナさん入場の時には「ファシナッサン」、指輪交換の時にはイタリア語の「ディオ・コメ・チ・アモ」を歌ったジェフェルソン氏に、アナさんも「私達の歩みを象徴する歌」と同意を示す。
早朝から雨が降り、気をもむ新郎はテントの手配も命じたが、11時頃には日がさし始め、新郎の気苦労は晴れた。
05年に開かれた下院倫理委員会で、メンサロン事件の主犯の一人とされたジョゼ・ジルセウ元官房長官に「貴方は私の最も深いところにある欲望を呼び起こさせた」と語ったジェフェルソン氏は、結婚式では「愛するアナ。貴女は私の最も深いところにある甘い欲望を目覚めさせた」との言葉で会衆の笑いも引き起こした。
新たな一歩を踏み出すに当たり、招かれた客は約300人。涙しつつ語り、歌い、会衆の笑いまで引き出した新郎は、招かれた数少ない政治家達がPTBと民主党(DEM)との合併問題などを話し合う間も「党の実権はクリスチアネ氏に譲り渡したのだから」と明言し、口を挟もうとしなかった。(5月30日付エスタード紙、フォーリャ紙などより)