変形した頭部の成形成功＝３Ｄ使ったチタン製部品で

　サンパウロ州カンピーナス大学付属クリニカス病院で、３Ｄプリンターで作ったチタン製の補綴具を使用した頭部の成形手術が行われ、患者が将来への希望を取り戻したと２日付Ｇ１サイトが報じた。
　学生のジェシカ・クシオリさん（２３）は８カ月前に起きたバイクの事故で頭蓋骨に約１２センチの穴が開き、一見しただけで変形が明らかな外見以上に、絶え間ない頭痛や不快感などで悩んでいた。ジェシカさんの家族は事故直後から、右の眼窩の骨折部分も含む、補綴具を使った成形手術を望んでいたが、１３万レアルという価格に手が出ず、補綴具の製造工場や研究所などに手紙を送り、解決策を探っていた。
　家族が送った手紙は科学技術省傘下の研究機関で、カンピーナス大学とパートナーシップを組んでいるビオファブリス研究所にも届いた。同研究所は磁気共鳴検査の結果とコンピューターを使って頭蓋骨の損傷部を覆う補綴具の型を作製。３Ｄプリンターでチタン製の補綴具を作った。
　チタン製の補綴具は外国でも使用例があり、拒絶反応も少ないが、同種の補綴具を使った成形手術は国内初で、材料はまだ国家衛生監督庁の認可を得ていない。手術には学内倫理委員会の許可を要したが、手術そのものは大成功で、術後１週間のジェシカさんは、満面の笑みをこぼしつつ「ショッピングセンターに行きたいし、大学も終わらせたいわ。頭が新しくなったんだから、これから先は新しい事だらけよ」と語っている。