米国の調査機関が世界60カ国の官営、民営企業1200社について調べたところ、ブラジル人労働者の生産性は米国人労働者の24・1%に過ぎないとの結果が出た。
労働者の生産性は国内総生産(GDP)と労働者総数で割り出され、米国の労働者が1人でこなす仕事量をこなすにはブラジル人が4人必要だという。2000年の調査では、ブラジル人労働者の生産性は米国人労働者の26%だったから、ブラジル人労働者の生産性は2%ポイント低下した事になる。
他国労働者と同様の比較をした結果は韓国人労働者の40%(00年は53%、以下同)、チリ人労働者の51%(59%)、ロシア人労働者の59%(82%)、アルゼンチン人労働者の74%(66%)などとなっており、ブラジル人労働者が勝るのは、インド人労働者の209%(383%)と中国人労働者の120%(422%)だけだった。また、00年と比べ、ブラジル人労働者と比較した生産性が下がったのはアルゼンチンだけだった。
生産性の良否は、労働者の教育レベルや仕事への熟練度、インフラ(基幹構造)の充実度、新しい技術や新製品の開発への投資などを反映しており、生産性を分析すれば効率化のために投資すべき部門も明らかになる。
ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)のフェルナンド・ヴェローゾ氏は、ブラジルの問題点として教育を挙げる。同氏によると、ブラジル人労働者の平均就学年数は7年で、米国人労働者の12~13年の半分強に過ぎない。就学年数が12~13年という事は、米国では、少なくとも高校を終え、大学かそれに準ずる教育を受けた労働者が多い事を意味する。
職能訓練のための時間にも差があり、米国の年間120~140時間に比べ、ブラジルは年間30時間程度だ。
専門家は、米国人労働者と比べたブラジル人労働者の生産性は2006年以降で最低で、1950年代のレベルに逆戻りしたという。1980年のブラジル人労働者の生産性は米国人労働者の40%だった。
1950年からの65年間、技術開発などは進んでいるのに、ブラジル人労働者の生産性が向上しないのは、重税、高金利、為替の不安定さ、生産地から港へのアクセスの悪さなどのインフラ不備、労働者の賃金などを含む生産コストの高さなどが理由だ。また、経済活動減速化に伴うGDPの成長率低下やインフレの昂進、融資枠の削減なども影響している。
家庭消費の低下や企業投資、公共支出の縮小、工業界やサービス業界の不振といった要因は、第2四半期の経済が更に悪化し、労働者の生産性が更に落ちる可能性も示唆している。
専門家は、現状打破には、新しい技術や新製品の開発、自由貿易圏の拡大、技術や知識を持った外国人労働者の参入を容易にする工夫なども必要だと言う。(5月31日付フォーリャ紙より)