サンパウロ都電公社(CPTM)の従業員らが3日、運営者側との賃金交渉でをめぐって折り合いがつかず4線でストを断行した。これによりサンパウロ市ならびにその周辺都市の住民約300万人の足に影響が及んだ。3日付伯字紙が報じている。
運行を停止したのはサンパウロ市から東に伸びる11号線と12号線、そして北西に伸びる7号線と南東に伸びる10号線の計4線だ。
スト決行は、労働裁判所(TRT)で2日に行われたCPTM側と労組側の交渉が物別れに終わったことを受け、同日夜の労組側の総会で決まった。TRTの調整は3度目だった。
11号線と12号線の運行停止はブラジル中央部鉄道会社従業員組合、7号線と10号線の運行停止はサンパウロ鉄道会社従業員組合の総会で決まった。西に伸びる8号線と南西に伸びる9号線の運行を担当するソロカバナ地区鉄道会社従業員組合は交渉の内容を不服としつつも、通常運行を決めた。
CPTM側は2日、前回の値上げ時からのインフレ率などを考慮し、給与を7・72%調整し、福利厚生関係の食事手当てなどを10%引き上げる案と、給与、厚生共に8・25%の賃上げ案を提案したが、交渉がまとまらず、TRT側が給与7・72%、厚生費15%の調整案を勧めた。CPTM側も、給与、厚生共に8・50%の賃上げ提案を行った。しかし、この案にはCPTM理事会が反対した。一方、労組側は9・29%の賃上げ要求(フォーリャ紙より、エスタード紙では給与7・89%と厚生10%の調整)にこだわった。
TRTのウィルソン・フェルナンデス判事は、スト断行時も、ピーク時(4~10時、16~21時)は操縦士90%と駅員の70%、それ以外の時間は60%の従業員が仕事に従事するよう義務付ける暫定令を出し、1日につき10万レアルの罰金を科すことも明言した。
3日朝、ストを知らずにCPTMの駅に来た利用者は驚きを隠せずにいた。午前8時30分頃、7号線フランシスコ・モラット駅では激情した利用者が駅の施設を破壊するなどの暴力行為にも及んだ。7号線バラ・フンダ駅~カイエイラス駅、11号線ルス駅~グアイアナゼス駅間では12時現在、間引き運転が行われている。
ストを決行した組合は3日14時半過ぎから総会を開き、3日午後からは徐々に運行を再開することを決めた。7、10号線担当の労組は11日午後1時からのTRTでの労使交渉の行方を見守る意向だ。11、12号線担当の労組は、9日の総会で3日のストの効果を分析した上で11日の労使交渉に臨むという。