ブラッター会長の電撃辞任など、激震の続く国際サッカー連盟(FIFA)の汚職問題で、米国捜査当局は14年のブラジルでのW杯に関して、FIFAのジェローム・ヴァルケ事務局長と、リカルド・テイシェイラ元ブラジル・サッカー連盟(CBF)会長が結んだ契約に関する捜査を行うと見られている。4日、5日付伯字紙が報じている。
4日付エスタード紙によると、米国捜査当局はこの件に関する発言をしていないものの、近い筋の関係者がテイシェイラ氏とヴァルケ氏の関係も捜査の対象となると語っている。
14年のW杯に関してテイシェイラ氏やヴァルケ氏がサインした契約は約1千件に及ぶが、その中の一つ、ドイツのビルフィガー社は、管理・警備センターに関する契約の一つで、100万米ドルの贈賄を行った痕跡があり、全ての証拠をブラジル検察庁に送付済みと主張している。
ヴァルケ氏には、2010年のW杯に関連し、南アフリカからカリブ海サッカー連合に渡った1千万ドルの送金に関わったとの疑惑も出てきている。同氏は収賄を否定し、事務局長を辞職する意思もないという。
ヴァルケ氏は一度FIFAを辞職させられていたが、2007年にブラジルがW杯の誘致運動を展開しはじめた頃、復帰を果たした。事務局長になる数カ月前、同氏はCBFのコンサルタントとして開催候補に名乗り出るための資料作成などを手伝ったが、FIFAはこの間も給与を支払っていた。現在のCBFのマーケティング・コンサルタントは同氏の息子のセバスチアン氏だ。
14年W杯に関するFIFAの支出は22億米ドルで、4億5300万米ドルは契約履行などのため、テイシェイラ氏が会長をつとめていた現地実行委員会(COL)に支払われた。32カ国の代表に回された資金が5億米ドルであることを考えると、これも多い。
一方、FBIに報奨つき証言を行い、ジョゼ・マリア・マリン前CBF会長ら逮捕のきっかけを作った一人は、マーケティング会社「トラフィック」創設者でブラジル人のジョゼ・アヴィラ容疑者だ。FBIが5月27日に司法当局に提出した不正疑惑の証拠には、同氏が14年4月にマリン氏とマイアミで行った、コパ・ド・ブラジルのテレビ放映権に絡む年200万レアルの賄賂の分配に関する会話の盗聴記録がある。マリン氏はテイシェイラ氏への分配はやめ、自分とマルコ・ポーロ・デル・ネーロ現会長だけで分けるべきだと語っていたという。
なお、同じく報奨つきの供述を行っている米国のチャック・ブレイザー元FIFA理事は、98年開催のW杯招致で92年に賄賂を受け取ったと証言。当時の会長はブラジル人のアベランジェ氏で、米司法当局は98年W杯以降の招致に関する捜査も開始する意向だ。