ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 下院=投票実施回数が激増=過去20年の記録のほぼ倍=連邦政府の権威は失墜=現議長の強引さ目立つも
エドゥアルド・クーニャ下院議長(J. Batista/Câmara dos Deputados)
エドゥアルド・クーニャ下院議長(J. Batista/Câmara dos Deputados)

下院=投票実施回数が激増=過去20年の記録のほぼ倍=連邦政府の権威は失墜=現議長の強引さ目立つも

 下院で2月から5月に行われた投票回数が、過去20年の同期に行われたそれの中で群を抜いていることがわかった。これは議会に対する連邦政府の権威失墜も意味する。7日付エスタード紙が報じている。

 エドゥアルド・クーニャ氏(民主運動党・PMDB)は2月1日に下院議長に就任して以来、5月31日までに121回の投票を行っている。
 これは1995年のルイス・エドゥアルド・マガリャンエス氏(PFL・自由戦線党)以後、下院議長が就任後の最初の4カ月で行った投票数としては圧倒的に多い。これまで最も多かったのは、2007年に就任したアウド・リベロ氏(ブラジル共産党・PC do B)の73件だ。
 くしくもこの現象は、ジウマ政権の権威が失墜したのと時を同じくして起こっている。現に下院では、これまでジウマ大統領が反対してきた、連邦最高裁判事の定年の75歳への延長や、アウトソーシングの労働者を企業側が適用する範囲を広げるなどの法案を投票で承認させている。
 これとは全く対照的なのは、労働者党(PT)が最初に政権を取った2003年のルーラ政権時で、ジョアン・パウロ・クーニャ氏(PT)が下院議長を務めていた頃は、同時期にわずか27回の投票しか行われていない。
 クーニャ現議長による活発な投票実施に関して、「彼が就任する前の本会議は木曜日にしか行われなかったが、今は月曜から木曜まで本会議を開催しているから」と語るのは、下議11期目のミロ・テイシェイラ下議だ。同下議によると、この傾向はミシェル・テメル現副大統領(PMDB)が下院議長だった09~10年に、暫定令(MP)が入ることによって法案審議が止まってしまうのを減らす方向を取って以来のことで、よい方向に動いていると評価している。
 ただ、その一方で、エスタード紙が同記事で指摘しているように、クーニャ議長が「投票を活発に行うことで、ペトロロンの調査対象になった事実を人々に忘れさせようとしている」側面もある。同議長は同事件の主犯アルベルト・ユセフ被告から、プラットフォームのレンタルに関する収賄の疑惑を指摘されている。
 また、政治改革の投票に関しても、特別委員会での審議を待たずに本会議にかけたり、立候補者個人への企業献金を禁止するとの法案を否定された翌日、表現を変えて、企業献金は政党に対してのみ認め、個人への献金は個人レベルでのみとする法案を通過させたりするといったごり押し姿勢も見られる。企業献金に関しては、憲法には「同じ内容の法案は同じ年に2度審議できない」との規定があるため、6政党61人の議員が最高裁に違憲だと訴えるなど、物議もかもし出している。