ホーム | ビジネスニュース | 新ろ過装置は期待はずれ?=予定の32%しか生産増えず=無入札の設置業者選定に疑問も
9日の記者会見の模様(Roberto Stuckert Filho/PR)
9日の記者会見の模様(Roberto Stuckert Filho/PR)

新ろ過装置は期待はずれ?=予定の32%しか生産増えず=無入札の設置業者選定に疑問も

 サンパウロ州での水危機が深刻化した昨年、浄水の生産量を拡大するため、2650万レアルで緊急契約され、サンベルナルド・ト・カンポ市にあるリオ・グランデ水系(SRG)の浄水場(ETA)に設置されたろ過装置の性能が、昨年9月にサンパウロ州水道公社(Sabesp)が公表していた、「毎秒の浄水生産量500リットル増」の4割にも達していないことが分かったと9日付フォーリャ紙が報じた。
 同ETAの浄水生産量が毎秒500リットル上昇すれば、カンタレイラやアルト・チエテの両水系から給水を受けている地域の人々15万人への給水拡大が可能と考えられていた。
 しかし、Sabespの日報によれば、新ろ過装置設置後の今年1月から6月のリオ・グランデ水系の給水量は毎秒5160リットルだった。
 Sabespによると、新ろ過装置は直径が人間の毛髪よりも千倍も小さい粒子を除去することができる生物学的反応装置を持っており、設備の設置は、シレン・ブラジル・ソルソンエス・パラ・アグア社(Xylem Brasil Solucoes para Agua Ltda.)社が3カ月かけて行った。
 契約は入札なしで14年6月に調印され、州会計検査院(TCE)はこの契約に反対していた。
 Sabespは文書で「新しいろ過装置は毎秒500リットルを生産、フル稼働しており、設備には何の問題もない」と報告し、「浄水生産量の変動は統合システム管理の決定に基づくもので、生産能力の向上は、将来的に地域の需要が増加した時の供給も保証する」とした。シレン社はフォーリャ紙の質問には応えなかった。
 8日、ジェラルド・アルキミンサンパウロ州知事(PSDB)は、グアラピランガ水系アルト・ダ・ボア・ビスタの浄水場に、新しいろ過装置を設置すると発表した。これは貯水率の回復が遅れているカンタレイラ水系への依存度を下げるために、来月までに浄水生産量を毎秒1千リットル拡大することが目的だ。工費は4150万ドルで、ここも競争入札は無かった。同浄水場では、昨年末のろ過装置増設で浄水生産量が毎秒1千リットル拡大している。