ホーム | 日系社会ニュース | 端境期4月に品切れの弥勒米=新ブランド6月から登場=東山農産加工(有)小林社長に事情聞く
日本食スーパーに並ぶ弥勒米(左)とみなみ米(右)
日本食スーパーに並ぶ弥勒米(左)とみなみ米(右)

端境期4月に品切れの弥勒米=新ブランド6月から登場=東山農産加工(有)小林社長に事情聞く

 日系人や駐在員を中心に人気の日本米「弥勒米」が品薄で、価格が高騰している。サンパウロ市リベルダーデ区の日本食スーパーでは4月中は品切れが続き、5月以降は出回ってはいるものの、昨年35レ前後だった価格が50レ前後にまで上昇する店舗も。編集部には4月初め「東洋街中の店を探しても品切れ。値段もどんどん上がっている。一体どうなっているの」との問い合わせが寄せられていた。弥勒米を輸出販売する東山農産加工有限会社の小林信弥社長に値上げの主因やその対策などを聞いた。

東山農産加工小林社長

東山農産加工小林社長

 「あきたこまち」をウルグアイのアグリダイアモンダ社が現地で生産・加工し、東山農産が買い付けてブラジルへ輸入し「弥勒米」として販売している。4月に収穫し、5月に新米が市場に出回るので、その端境期に品切れ状態が毎年のように起きている。
 値上げ原因については「為替」「日本食需要の増加」「インフレ」の3つを挙げた。為替について「輸入はドル建てで行っているため、レアル安の影響がある。以前は1ドル2・5レだったが、今は3レ。値上げは避けられない」と説明し、卸売り価格を4月より15~20%も上げたという。「苦渋の決断だったがブランド力がついた確信があり、売り上げが落ちる心配をせずに決断した」と振り返る。
 日本食需要増加については、昨今の日本食ブームでレストランが増え、日本米の需要が高まっていると語る。テマケリア(手巻き専門店)などの業態も加わり、品質の高い弥勒米が選ばれているのだという。「業務用としても弥勒米が取り合いの状態になり、一般に出回る量が少なくなったのは事実」と見ている。
 卸値値上げ分よりも高い市場価格上昇分について、「インフレの影響で輸送費や光熱費も上がっている。市場価格の値上がりもある程度やむを得ないのでは」との理解を示した。
 輸入量を増やす可能性については、「生産者から『品質の高い米の生産には他品種と混同しないことが最重要』と聞いている。生産拡大には耕地面積がさらに広くないと。それには大規模投資が必要。ちょっと考えにくい」と語る。
 とはいえ、ウルグアイの別の会社で生産された新ブランド「みなみ米」を作り、6月初めから流通を始めた。価格帯は弥勒米より幾分安価になった。「厳正な市場調査をした上で販売拡大を決定したい」と慎重な姿勢で語った。