連邦最高裁判所(STF)は10日、本人からプライバシーの侵害だとの訴えを受け、これまで禁止されてきた伝記の出版を9対0の全会一致で解禁したと11日付伯字各紙が報じた。
10日の審議に出席した9人の判事は、伝記出版前に本人、または家族が目を通し、その内容を承認することを要求することは違憲であるとの見解で一致した。
判事たちの見解は、伝記を出版された人がその内容で気分を害した場合や嘘や中傷を書かれた場合は、いつ、誰であっても、補償や釈明、出版差し止めなどを求めて控訴するための仕組みが法律で保障されていることを前提としている。
伝記出版禁止を求める係争は近年のブラジルではお馴染みの光景だった。
最近はこの問題が出てくると常に、07年に伝記出版差し止めの権利を獲得し、その後、伝記差し止め問題に関する代表的人物となった歌手ロベルト・カルロス氏の名前が上がっていた。
この問題の報告官を務めたカルメン・ルーシア判事は、言論の自由は公的な存在となった人のプライバシー保護の権利によっては抑制されないとし、「検閲は表現の自由侵害であり、さらに悪いことに憲法にも反している。表現の自由は万人の権利で、それを妨げるものはこの国に存在しない。これは憲法で保証されている」と述べた。
伝記出版前の本人による検閲は違憲であるとの結論にもかかわらず、嘘や中傷が書かれた場合の賠償問題については激しい議論があった。
判決の場には、ロベルト・カルロス氏によって出版を差し止められた「評伝ロベルト・カルロス」の著者で、ジャーナリストにして伝記作家のパウロ・セザール・デ・アラウージョ氏が列席した。
デ・アラウージョ氏は判決を支持し、ロベルト・カルロス氏と同氏、出版社の間の合意によって回収された伝記の更新バージョンを書くことを考えていると言った。
ロベルト・カルロス氏らが設立した研究機関の弁護士のアントニオ・カルロス・デ・アルメイダ・カストロ氏も法廷で取材に応じ、プライバシーの権利は表現の自由の権利と同様に重要で、「検閲が問題だと司法は言うが、市民がそのプライバシーを保つことを妨げることこそが検閲だ」と述べた。
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