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デング熱ワクチン承認に遅れ=ブタンタン製の流通は18年

 国家衛生監督庁(ANVISA)が、サンパウロ市のブタンタン研究所が提出したデング熱ワクチン試験結果に疑問を呈し、第3段階の試験開始が遅れていると11日付エスタード紙が報じた。同庁は、提出された報告書には不備な点があり、それを解決しなければ次の段階の試験を許可することはできないとしている。
 アルトゥール・シオロ保健相は10日に上院で開かれた公聴会で、ブタンタン研究所で開発されているワクチンの提供は早くても18年からになるとの見解を述べた。「ワクチンが一刻も早く利用できることは我々にとっても最大の関心事だが、率直に言ってそれは現実的ではない」と同保健相は10日語った。
 同相は、ワクチンの製品化には、第3試験の完了と、ワクチン製造に特化した設備の建設が不可欠だと説明し、ANVISA側に第3段階の試験開始が遅れている責任があるという説を退けた。同相は、同研究所が第2段階までの試験の結果を提出するのが遅れたことが次の試験開始を遅らせた最大の原因としている。
 同相は、サノフィパスツール社(以下サ社)が開発中でブタンタン研究所より実験が進んでいるワクチンについて、「統一医療保健システム(SUS)にとり込むことには前向きではない。サ社ワクチンは年に応じて変わる流行に充分対応できないからだ」と語り、サ社ワクチンは子供や高齢者など、非常に脆弱なグループには向かないという事実も挙げた。
 同相は、サ社ワクチンに対する彼の意見が、政府の決定ではないことを強調した。「あくまで私の評価だが、サ社ワクチンには限界がある」と言った。
 ブラジルでは今年だけでも378件のデング熱による死亡例が記録されており、その多く(256件)がサンパウロ州に固まっている。