ホーム | 日系社会ニュース | 〃夢の新技術〃がブラジル上陸=可燃ごみをセラミックに=商業ベース導入はブラジルが初=サンパウロ市東部で今月稼動開始
装置の立ち上げに参加した荒木さん(左から6番目)
装置の立ち上げに参加した荒木さん(左から6番目)

〃夢の新技術〃がブラジル上陸=可燃ごみをセラミックに=商業ベース導入はブラジルが初=サンパウロ市東部で今月稼動開始

 日本発・世界で唯一の新技術を使った有機物分解セラミック生成装置「ERCM」が、サンパウロ市東部のイタケーラ区で稼動を始めた。開発者の荒木國臣さん(ASK商会会長、58、神奈川)によれば、ERCM(Earth Resource Ceramic Machine)は、あらゆる有機廃棄物(可燃ごみ)を熱分解し、再利用可能なセラミックスの粉に変えてしまう画期的な装置だという。今月初旬、荒木さんが来伯し、サンパウロ州環境局関係者の立会いの下、装置の立ち上げを行った。商業ベースで導入されるのはブラジルが初めて。

ERCM

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 従来、有機廃棄物は焼却処理されてきたが、その過程で排出されるダイオキシンや重金属、汚水や焼却灰の処理などが問題となっていた。それを「一挙に解消する」のがERCMだという。
 これはゴミを無火炎燃焼によって乾燥・分解し、有害物質を最小限に抑えつつゴミを100~500分の1の容積のセラミック粉に変えるもの。無公害・無騒音で、設備・運転費など経費も抑えた低コスト仕様、一日に20トンもの廃棄物を処理できるという。
 常時分解炉に送られるマイナスイオンと、炉の底部に敷かれたセラミックから生じる輻射熱(遠赤外線領域の電磁波)がそれを可能にするという。セラミック粉は病院の白衣やシーツ、水質改善、建築用塗料など利用法は多岐にわたる。
 荒木さんは、「半永久的にゴミを投入し続ければいい。補助燃料もいらないし、動かしながらメンテナンスもできる。日本環境省も応援しているし、ノーベル賞級の発明だという研究者もいる」と胸を張る。
 10年以上の歳月をかけて開発、08年に商品化に至った。元々は不動産業や自動車解体業を営みながら、マイナスイオンによるダイオキシンの無害化とそれを応用した小型廃棄物処理機の研究をグループで行っていた。しかし商品は不安定で大型化は失敗。そこで他の職を投げ打ち、4億円の財産を初期費用に投じ、大型処理機の開発に乗り出した。
 最終的な開発費は12億弱にも上った。日中両国で始まった試験稼働は順調で、現在、伊藤忠商事と売り出しの準備にかかっている。日本での価格は一台6億円。2年前、産業廃棄物の処理を専門とするSOLVI社の吉村忠之技術部長が訪日した際に同装置の存在を知り、購入を決めた。
 荒木さんは次なる目標として「この装置を全世界におくという確信の下に、収益を後進国につぎ込んで、それぞれの土地で衣食住と教育を包括した独立採算制のシステムを作りたい。そして世界の経済格差をなくしたい」との壮大な夢を語った。ERCMに関心のある方は吉村さん(Eメール=tyoshimura@solvi.com)まで連絡を。


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 可燃ごみをセラミックの粉に変えてしまうという日本発の新技術ERCMは、公害も出なければコストも低く、焼却灰も生じないというまるで「ドラえもん」の四次元ポケットから出てきたような夢の装置だ。よく「肌に良い」と言われるマイナスイオンが有害物質を無害化するそうだが、マイナスイオン自体がまだ研究途上のもので、大学の研究者らもこの驚くべき結果には首をひねっているとか。その働きの解明を急ぐべく、東工大・熊本大・環境省が共同研究に着手している。時代をリードする世紀の発明で、ごみ問題解決に大きな前進か。