ブラジルの本屋の数は全国平均で6万4千人に一軒。そのなかでも20万人に一軒と一番少ないのがパラー州だという(ブラジル書店協会データ)。その州都ベレンで図書見本市(ブックフェア)が開かれると聞き、大きなお世話ながら大丈夫だろうか―と心配になった。おもわずアマゾン初期移民のエピソードを思い出したからだ▼トメアスー移民らが野菜を作るものの需要がない。当時は、野菜を食べる習慣がなかったからだ。移民らは現地の食生活を変えることから始めねばならなかった。上流階級と付き合いのあったコンデコマこと前田光世も自宅で料理を振る舞い、その普及に一役買ったという。さて本の場合は…そんなコラム子の無知な不安は杞憂そのもの。会場には、50以上の出版社が出展し、10日間で約40万人が足を運んだ。14年も続くイベントだ▼今回は、『ブラジル日本外交樹立120周年』がテーマとなり、映画や音楽なども含めた日本文化を紹介するイベントにもなった。ベレン市民が大いにニッポンに触れたのは喜ばしい。もっとも毎年、汎アマゾニア日伯協会が「日本週間」を開催しており、素地はできている。今回の会場となった州立コンベンションセンターで開催されたこともある。式典には現地日系社会代表者はもとより、梅田邦夫大使、パラー州知事、ベレン市長も臨席し、盛大に祝われたようだ▼ちなみに本紙がまとめた『アマゾン』や指差し会話張『ブラジル人のための日本の裏技』を下小薗昭仁・本紙通信員が売り子となって販売してくれ、まずまずの売れ行きを見せたのも嬉しい限りだった。(剛)