まさかこんなに長く苦しむことになるとは、思いもしなかった。4月1日、リベルタドーレス杯でウルグアイ王者ダヌービオを、エース・ゲレーロのハットトリック(3得点)を含む4対0で粉砕した時は、その後の大不調の予感など何一つ無かった。
続く12日、サンパウロ州選手権の準々決勝ポンチ・プレッタ戦を苦戦の末に1対0で勝った時も、「相手も必死だったし、たまの苦戦もいい薬」くらいに思っていたが、その後コリンチャンスは長い不調にはまり込み、次にファンがホームスタジアムでの勝利を見るのに2カ月も要した。
それまで1年近く無敗を誇ったホームスタジアムで1分3敗、さらに悪いことに、不倶戴天の仇敵パルメイラスに2度も負けている。
エースだったゲレーロも契約延長交渉が決裂して退団。ストレス、不安、恐れなど、全てが混ざった感情を抱え、6月13日の全国選手権、強豪インテルナシオナル戦を迎えた。
チームの調子が戻っていないことは明らかだった。前半終了間際に相手の元セレソン選手、ニウマールに鮮やかなゴールを決められ、0対1で折り返した時には、「またか、だめだこりゃ」とすっかり弱気、負けたときの予防線を張っている自分がいた。
しかし後半、遂にコリンチャンスは目を醒ます。これまで「お荷物」だった今年の補強の目玉選手、ワグネル・ラブが入ると攻撃が活性化、彼が敵ゴール前で受けたファールから、背番号10番のジャジソンがフリーキックを直接決めて同点、さらにラブが混戦からのこぼれ球を蹴り込み逆転に成功すると、不安げだったコリンチアーノは大盛り上がりに。終盤に少し押し込まれたものの、何とか逃げ切り、勝利した。
試合内容は完全復活には程遠く、ラブも今年序盤の失態続きの借りを返したとはとても言えないが、今は勝つことが何より大事。4年ぶりの全国選手権制覇に向けて首位に離されないで行くことが肝要だ。 (規)