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南米人の〃夢〃大陸横断鉄道

9日にマット・グロッソ州都クイアバで行われたリオ―リマ大陸横断鉄道の構想発表セレモニーでは、ブラジルと中国の国旗をバックに駐伯中国大使が高らかに演説した(Foto: José Medeiros/GCOM MT)

9日にマット・グロッソ州都クイアバで行われたリオ―リマ大陸横断鉄道の構想発表セレモニーでは、ブラジルと中国の国旗をバックに駐伯中国大使が高らかに演説した(Foto: José Medeiros/GCOM MT)

 5月に来伯した中国の李克強首相が大陸横断鉄道構想を提案し、話題を呼んだ。この種の壮大な鉄道構想は古くからの南米人の夢で、1846年にボリビア人技師ジョゼ・パラシオが言い出したとの記録がある。ボ国独立が1825年だから21年後。同技師はすでに「アンデス山脈を越えるのは困難だから、アマゾン盆地に下ろして欧米に物流ルートを」と考えていた▼その後1899年、当時ボリビア領だったアクレ州在住ブラジル人が「アクレ革命」を起こして軍隊に勝ち、1903年にペトロポリス停戦協定を結んだ。その時にボリビアは土地を譲る代わりに、土地代2億700万ドルと鉄道建設をブラジルに約束させた▼このマデイラ鉄道建設(1912年完成)を請け負ったのは、米国人事業家パルシヴァル・ファルカルだった。ボ国国境マモレからポルト・ベーリョまでの366キロをつないだこの鉄道は、開通したとはいえ、熱帯病が蔓延し「枕木一本に屍一つ」と喩えられるほど死屍累々の難工事だった▼当時の米国にとり世紀の大工事はパナマ運河だったが、民間では同鉄道が最大級。同運河は1914年に開通し、日本移民になじみの深いルートになった▼覇権を狙う中国はまさにその百年後の2014年、ニカラグア運河建設に着工した。ところが途中の湖の生態系への悪影響を心配して反対の声が強まり、同国政府が二の足を踏んでいる。ブラジルの評論家ケネディ・アレンカールは《中国の横断鉄道提案は、環境評価やアンデス山脈トンネルなどの困難を抱える。ニカラグア政府に工事強行の圧力をかけるための脅しに過ぎない》(CBN11日)と喝破。さて〃夢〃は実現される?(深)