107年目の移民の日に日刊邦字紙が2紙も続いている事実を、誰が予想できたか。例えば1970年3月3日付(45年前)パ紙の「十年後のコロニア」記事で、日本の研究者・山田睦男氏は「コロニアは消滅するが、日系人は機能分化しながら各分野に地位を確保する」と論じた▼文協の初代事務局長・藤井卓治氏は『週刊時報』創刊号(1976年)に「十数年前に来伯して、日系移住社会のブラジル社会への融合事情を調査したアメリカ・コーネル大学のスミス教授は『後20年経ったら、日本語新聞も日本語学校も仏教や新興宗教もなくなってしまう』という結論を出した」と書いた▼つまり多くの研究者は「80年代にコロニアは無くなる」と予見した。確かにコチア、南伯産組は94年に清算、南銀も98年に合併された。でも移民百周年は全伯規模で祝われ、それを機に復活する日系団体すら現れた▼藤井氏は「『コロニアとは何か』と聞かれれば、私は直ちに『新聞だ』と答えるであろう。新聞がなくなればコロニアは分解するだろうと思うからだ。(中略)『日本語は何時まで続くか』と聞かれれば、『日語新聞と運命を共にする』と答える外はない。ドンピシャリの答えではないが、それ程新聞の占める地位は大きい」とも書いた▼日々の出来事の報道を通して、日系社会の意見や傾向を集約する役割がコミュニティ新聞にはある。コロニアの言語は日本語からポ語に比重を移したが、肝心のポ語新聞は一つのみ…。ポ語で子孫にルーツを自覚させる取り組みが今ほど必要な時代はない。「消滅する」という研究でなく、どうやったらコロニアは続くのかこそ調べてほしい。(深)