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人工食品と食の原点

洋菓子もトランス脂肪酸が多い

洋菓子もトランス脂肪酸が多い

 「トランス脂肪酸(gorduras trans)」の食品添加を、3年以内に全廃すると米国が発表した。マーガリンなどの加工油脂類に含まれ、取りすぎると心臓疾患のリスクを高めるとされる食品成分だ。NHKの報道によれば、アメリカ食品医薬品局はこの決定により、年間2万件の心臓発作を防ぎ、心臓病による死者7千人減を見込んでいるという▼「トランス脂肪酸」とは、液状の油脂を固体化するための「水素添加」や脱臭処理の過程で発生する脂肪酸の一種。これによって品質が安定し、食品に使うとサクサクした食感を引き出せるため、1910年ごろ米国で発売され瞬く間に広がった。しかし最近の研究から、心疾患や認知機能の低下、糖尿病、高血圧などを招くことがわかってきた▼これを含む代表的な食品は加工油や冷凍食品、揚げ物、洋菓子などの工業製品だ。ブラジルでも相当摂取量が多いだろうこれら食品の数々は、手軽に食べられて腐りにくいため、重宝している人も多い▼しかし文明の利器を過信しすぎると、いつか付けがやってくるということか。これら否定的な研究結果を受け、ブラジルでは米国と同じ2006年からいち早く含有量の表示が義務付けられた。当地は台湾やカナダと並び、1994年の米国に続いて栄養成分表示を義務化するなど、食品の安全性への対応は中々迅速だ。今回も伯メディアが一斉にこの成果を報じているので、米国に倣って撤廃の方向に進むのではないか、またそうなれば良いと思っている▼人間の浅知恵でどんな発明をしたところで、自然の産物である自分たちの体は正直だ。生活習慣病という思わぬしっぺ返しに、食の原点を考えさせられる。(阿)