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聖市パウリスタ大通りでデモを行う農地占拠運動(MST)(André Tambucci/Fotos Públicas)
聖市パウリスタ大通りでデモを行う農地占拠運動(MST)(André Tambucci/Fotos Públicas)

テロ防止法への動き加速=法の遅れに国際機関から圧力=社会活動団体はテロから外す

 テロ行為に対する罰則制定を求める国際機関からの要求に対応するため、連邦政府が今週、議会に対して二つの法案を提出し、早期承認を求めていると19日付エスタード紙が報じた。
 ブラジルは国連安全保障理事会とテロ資金供与防止条約の署名国であることから、ブラジルに対するテロ防止法制定の要求は以前より存在した。
 テロリズムに対するブラジルの対策の遅れは、マネーロンダリングとテロリストへの資金提供に反対する金融活動作業部会(FATF/GAFI)の幹部達がブラジルを訪れ、ブラジルにテロの増殖や資金調達を防ぐ仕組みを作ることを要求した4月に明るみになった。
 ブラジル政府は豪州で6月21日から26日に開かれる同組織の会合に間に合わせ、即座の制裁をさけるために、大急ぎで法案を提出し、早期の承認を求めている。
 FATF幹部の来伯は、ブラジルが同組織から除かれるのではないかとの懸念を連邦政府にいだかせた。そうなれば、ブラジルが経済制裁を受けたり、イランや北朝鮮同様、ブラックリストに載せられたりする可能性もあり、ブラジル企業や国内に進出している外国企業にも多大な影響が出かねない。
 4年前、ブラジルはマネーロンダリングを防止するための法案にテロ犯罪を明記するか否かを検討したことがあるが、自らが「テロ組織」と認定されて不当な弾圧を受けることを恐れた社会運動団体から抗議を受けた連邦政府が、同法案に関する討議を打ち切った。
 連邦政府が今週議会に送った法案では、社会活動団体や政治デモをテロ行為と定義付ける可能性を省いている。
 ベト・ヴァスコンセロス法務局長は「憲法に明記されているデモの権利を守り、いかなる政治思想に基づく運動に関してもテロ行為と定義づけつけることはない」と政府側の配慮を強調した。
 法案はどんな動機と目的を持った団体がテロ組織であるかを定義し、テロ組織の構成員は8~12年収監とすることや、「テロ準備行為」が発覚した際の罰則なども盛り込んでいる。これにより、連邦警察は国内でのテロ行為の具体的な捜査が可能になる。
 条文はまた「孤独な狼」と呼ばれる、政治信条に突き動かされたり、他の団体による行為に影響されたりして行う個人的な犯罪行為についても規定している。