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黙祷を捧げる参列者
黙祷を捧げる参列者

異例の一周忌で大部さん偲ぶ=〃永遠の総領事〃に思い馳せ

 日系諸団体が共催し12日、サンパウロ市で大部一秋ウルグアイ大使(元在聖総領事、享年62)を偲ぶ会が行なわれた。同氏が肝不全で急逝してからちょうど1年が経過。異例ともいえる一周忌が文協で開催された。
 2008年から3年半の任期中、106カ所の集団地を164回も訪問し、コロニア各地で親しまれた。惜しまれつつ13年からは、ウルグアイ駐在特命全権大使を務めたが、当地では〃永遠の総領事〃とも慕われる存在だった。
 小講堂には管轄内各地から130人ほどが集まった。モジ文協の中山喜代治理事長は「モジには4回も来て頂いた。これまでの総領事にはなかったこと。移住者との会話には何の壁も感じさせない気さくさがあった」と人柄を称えた。
 公邸での食事会に招待されたことがあるコチア青年連絡協議会の村田重幸前会長は、「コチア青年十数人を公邸に招いて頂いた。移住者の話を親身になって聞いてもらえたことが印象的だった」と故人を偲んだ。
 遠路、麻州クイアバから訪れたブラジル中西部日伯協会の伊沢祐二会長は、11年から始まった七夕祭りを引き合いに大きな感謝を示した。「大部さんがクイアバを訪問した時に日系行事の開催を強く勧め、州や企業への働きかけてくれた。大部さんがいなければ実行できなかった。日系社会の結束も強まり感謝の気持ちしかない」。
 会では日系5団体の代表者が大部氏へ追悼の言葉を送った。雅子夫人と訪れた中前隆博在聖総領事は、「先輩の背中を見て業務に励みたい」と語り、梅田邦夫駐伯大使もメッセージを寄せた。哀悼の意を込め、尺八演奏や弦楽四重奏が行なわれ、参列者が順に献花し故人を偲んだ。
 日本から訪れた妻の栄子さんと長女の美栄子さん、サンパウロ市に赴任している長男の一城さんはしきりに感謝を示し、会場出口で全員と言葉を交わし見送った。


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 送別会のときに「心はサンパウロに残る」という名言を吐いてブラジルを去り、ウルグアイ大使になった〃永遠の総領事〃大部一秋氏を、コロニアが12日に偲んだ。突然判明した肝不全でこの世を去ったが、奇しくも長男はブラジルに赴任し、あれよあれよという間に今年10月にはブラジル人女性との結婚式を予定するとか。当地に親戚ができることもあって妻の栄子さんは「大部の魂は大好きなこの国にまだ残っているはず」と冗談交じりに話す。送別会の言葉通り、これからも〃永遠の総領事〃は天からコロニアを見守ってくれるに違いない。