「ブラジルで最も視聴率のある番組は?」というと、それは長年、「グローボ局の9時のノヴェーラ」というのが当たり前の答だった。しかし今、その答が変わりつつある。
その原因を作ったのは、現在の9時のノヴェーラ「バビロニア」のあまりの絶不調ぶりだ。9時のノヴェーラの視聴率はここ5年ほど下降傾向にありはしたが、それでも2012年の「アヴェニーダ・ブラジル」、13年の「アモール・ア・ヴィーダ」、そして前作の「インペーリオ」はヒットし、なんとか「国民的人気時間帯」のメンツは保ってきた。
ところが3月にはじまった「バビロニア」は、確実にヒットをさせるべく、この時間帯で屈指の主演数を誇るグロリア・ピーレスを主演に、国際的にヒットした映画「セントラル・ステーション」で知られるブラジル唯一のオスカー女優で大ベテランのフェルナンド・モンテネグロ、「アヴェニーダ・ブラジル」の悪役カルミーニャ役で南米一帯で有名なアドリアーナ・エステベス、国際エミー賞で主演女優賞に輝いたこともあるカミーラ・ピタンガなど、そうそうたるキャストをそろえていた。
しかし、放送当初から視聴率は低迷。それは初回放送でフェルナンダ・モンテネグロが84歳ながらに渾身の同性愛キスの演技を披露するも逆効果のまま進み、今日まで好転の兆しが見えない。それこそ、これまで「視聴率最低ライン」とされていた30ポイントを割る毎日が続いている。
その一方、同局の午後7時のコメディ・ドラマ枠は絶好調だ。それが5月にはじまった「アイ・ラヴ・パライゾーポリス」だ。主演は数年前に「ネイマールの恋人」と騒がれたアイドル女優のブルーナ・マルケジーナ、そして、現在もっとも売れっ子のコメディ女優タタ・ヴェルネックの2人だ。
サンパウロの中流居住区、モルンビの目と鼻の先にあるパライゾーポリスに生きる2人の腹違いの姉妹を描いたノヴェーラは、現在のブラジルの実情を、若手人気スターの好演でわかりやすく描いていることで、好評を博している。6月22日までに36回が放送されているが、「アイ・ラヴ~」の視聴率はそのうちの14回で「バビロニア」に勝ち、5回で引き分け、これまでの同局のノヴェーラ史にない逆転現象を見せている。
同局のノヴェーラの放送期間は8カ月は続くのが基本だが、「バビロニア」がこのまま屈辱の敗戦を続けていくと、これまでに前例の少ない早期打ち切りの可能性もある。(23日付フォーリャ紙サイトなどより)