14年3月にサンパウロ市で起きたバラバラ殺人事件主犯の女性が、逮捕から1年経て初めて、「私は怪物なんかじゃない」「誰も私が通った苦しみを知らない」と心情を明かした。
サンパウロ市民を震撼させた事件は、売春婦ら3人が、顧客男性を殺害し、遺体をバラバラにした上でコンソラソン墓地周辺とセー広場にばら撒いたというものだ。
主犯のマルレネ・ゴメス容疑者(57)は、被害者のアウヴァロ・ペドローゾさん(55)を殺し、バラバラにしたのは自分で、共犯として逮捕された2人は遺体を袋に入れたりするのを手伝っただけと釈明し、事件の詳細を語った。
同容疑者によると、同容疑者と被害者は愛人関係にあったが、被害者が次第に性的虐待や暴行、脅迫などを繰り返すようになって苦渋の中にいたところで事件が起きた。
同容疑者らは14年3月22日夜、いつものようにサンパウロ市中央部の売春宿で会い、酒を飲んだりして23日未明まで一緒にいたが、性交後に突き飛ばされて右腕を怪我したため、わが身を守ろうとして相手を突き飛ばしたら、被害者がトイレの便座に頭を打ち付けて気を失ったという。
倒れた被害者を見た同容疑者はこれまで味わった雪辱や虐待、恐怖などを思い出し、「この男から自由になるチャンス」と考えて金槌を手にとると、被害者の頭を殴りつけて殺害、被害者が腰に帯びていたナイフで遺体を切り分けたという。
被害者が言葉や力で加えた暴力を思い返し、怒りに任せて首を切り離すと、指や性器なども切り刻んでいった。殺した瞬間は後悔もしたが、積年の怒りはそれを凌駕し、「あたかも生きている相手を切り刻んで殺している気分だった」という。
6時間かけて遺体を切り刻んだ同容疑者は、マルシア・マリア・デ・オリヴェイラ(33)、フランシスカ・アウリレネ・コレイア・ダ・シウヴァ(35)両容疑者の助けを借りて遺体をごみ袋と買い物用カートに入れると、タクシーで遺体を処分しに行った。
遺体の大半はコンソラソン墓地周辺に置かれ、23日の内に発見されたが、その後にセー広場に置かれた頭部は27日に発見された。指その他の小さな部分は23日夜、現場を掃除した際にひとまとめにしてごみ袋に詰め込んだという。
被害者は既婚者で息子が2人いたが、未亡人は「いらいらする事はあったけど、それだけではあんな死に方をする必要はなかったはず」として、計画的な犯行に違いないと主張している。
同容疑者は刑務所でインタビューを受け、1回の稼ぎは70レアルだった事や2010年以降、被害者がバイブレーターやナイフを持ち込むようになった事、氷や果物なども使った性的虐待を受けていた事、床に押し倒し、腕を踏むといった暴行も受けた事、性交を拒んだり、警察に通報したりしたら容疑者や娘夫婦を殺すと脅していた事などを涙ながらに語った。
弁護士は、マルレニ容疑者は数え切れないほどの苦しみゆえに激情にかられて事件を起こしたとして、減刑を申し立てる意向だが、検察は3人による計画殺人との見方を崩していない。(23日付G1サイトより)