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22日のルーラ氏(Heinrich Aikawa/Instituto Lula)
22日のルーラ氏(Heinrich Aikawa/Instituto Lula)

ルーラ=PTの現状を批判する=「地位や選挙ばかり考える」=左翼政党の原点回帰促す=ジウマ政権に対しても苦言

 ルーラ前大統領は22日、ルーラ研究所での講演で、労働者党(PT)の現状について、厳しい批判を行った。23日付伯字紙が報じている。

 23日付本紙でも報じたように、PTは結党以来の危機に立たされている。ジウマ大統領の支持率は92年のコ―ロル大統領罷免直前の水準まで下がっている。さらに、ラヴァ・ジャット作戦でルーラ研究所への献金に対する疑惑が持ち上がり、パウロ・オカモト所長が下院の議会調査委員会(CPI)に召喚される事態となっている。
 そんな最中、ルーラ研究所が22日に「民主主義の新しい課題」と題する会議を開催し、そこでルーラ氏の講演が行われた。この日はゲストに、スペインでかつて左翼政権の首相をつとめたフェリペ・ゴンザレス氏(PSOE・スペイン社会労働党)が招かれていた。
 この席でルーラ氏は「もう69歳で疲れているのだが、結党当初(1980年)と同じことを言わなければならないとは」と現状を嘆いた。
 ルーラ氏はその講演で、現在スペインでマドリッドやバルセロナの市長を生み出すなど、民衆活動のレベルから急速に台頭し、PSOEに代わる大きな左翼政党になりつつあるポデモスについて触れた。同氏はこれを、82年にサンパウロ州ジアデマ市で初のPT市長が誕生した当時や、逆に13年にジウマ政権が大規模な民衆デモを受けたこととつなげ、PTは内部改革が必要だと説いた。
 ルーラ氏はPTの現状について「今のPTは理想郷を少し見失っているようだ。考えているのは仕事や地位、選挙のことばかりで、喜びを感じながら働いていない」と語り、「今、我々が救わなければならないのはわが身や役職なのか、それとも国を挙げた計画なのか。それを決めなければならない」と語った。
 折りしも、10日ほど前に行われたPTの党大会では、現状維持的な党の方針がまとまったことで、党内部で、民主運動党(PMDB)との連立解消などの大胆な変革を求めていた勢力を落胆させていた矢先でのルーラ氏の発言となった。
 また、ルーラ氏は、自身が大統領のときは社会活動団体と74回もの会議を行ったことを引き合いに出し、ジウマ政権の批判も行った。
 だが、これらのルーラ氏の発言に対し、PTの創始者の一人でありながら同党を抜けた元サンパウロ市市長のルイーザ・エルンジーナ下院議員(ブラジル社会党・PSB)は、「ルーラは創設期からこれまでのPTを導いてきた人物で、今もPTの実質的な指導者だ。PTを今のような状態にした責任から逃れることはできない」と厳しく批判している。