最も伝統あるレジストロ農協婦人会(宇都宮和子会長)の第50回「勉強会」が21日午前10時から同日伯文化協会会館で行われ、会員を中心に50人余りが集まった。コチア産業組合中央会のレジストロ事業所の婦人会としていち早く発足し、カッポン・ボニートなど各地に続々と婦人会が創立するきっかけとなった。母体であるコチア産組が94年に解散した後も、しっかりと活動を継続している。
宇都宮会長は開会の挨拶で「コチアが無くなった時は、どうなることかと心配しましたが、皆さんのおかげで何とか続けてこられ、創立と同時に始まった勉強会もついに半世紀の節目を迎えることができました」との心境を語った。
婦人会創立時の経緯を良く知る福澤一興レジストロ文協会長は、「コチア職員の長野久さんが、レジストロ事業所の責任者に『婦人部を作って一緒にやった方が盛り上がる』と提案し、創立する運びになった」と振りかえった。
「先ほど宇都宮会長が言われましたが、1994年9月30日のコチア解散を問う臨時総会に評議員として出席した時のことは生涯忘れられません。『賛成の人は座ったまま、反対の人は手を挙げて』と呼びかけ、誰も手を挙げませんでした。それでお終いです。サントアマロ中央会の理事だったと思いますが、一人だけ質問した人がいた。『これで本当に潰れたのか?』と。3万人も組合員がいて南米最大と云われた巨大産業組合が、たったそれだけでつぶれたんです。こんな呆気ないものかと。臨時総会が終わって外に出たら建物はそのまま、職員もそのまま…」。
その情景をまざまざと思い浮かべる様に中空に視線を漂わせた。「残ったのはSBC病院と婦人会だけ。『組合は男だけじゃダメ。女も入れなきゃ』と長野さんが言った意味が心にしみました。皆さん手伝ってくれるおかげでレジストロ文協も無事に行事をやってこられた。本当にありがたい」と讃えた。
本紙の深沢正雪編集長が「日系社会の価値」をテーマに講演すると、司会の滝井孝子元会長は「レジストロ地方連載を『一粒の米もし死なずば』として出版され、ここに半世紀以上住んでいる私たちも知らない歴史を掘り出して、本当の価値を認識させてくれた」との感想を述べた。
持ち寄りの昼食に舌鼓を打った後、農協婦人部連合会の須原マリナ講師による手芸講座が開かれ、午後4時まで充実した一日を過ごした。
参加者の大宅良子さん(77、アリアンサ生まれ)は「55年にレジストロにきて、勉強会には45回ぐらい参加してきた。毎年楽しみ」という。北原千代さん(71、宮崎県)も「40回以上参加している。夫(厚司さん)はコチア組合員でピメントン、バナナをやっていた。カジャチには日本人が少ないのでこちらに参加している」とほほ笑んだ。
同婦人会は65年に創立し、機関誌『黎明』(年1回)を発行していた。創立会員は13人だが、翌月には40人に。勉強会以外に毎月集まっており、8月30日には創立式典を予定する。
【大耳小耳】関連コラム
レジストロ日伯文化協会ではコンピューター教室に加え、5月から婦人会の会員が交代で講師になって日本食講座を始めた。7月18日は「おもしろ巻きずし」で、さっそく参加申し込みが沢山集まっている。福澤一興会長は「日本語学校以外にも、市や地元大学にも貸し出しているので会館は毎日利用されている状態」という。会館は大きくて立派だが、閑古鳥が鳴いているところは視察に行ってみては?
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農協婦人会「勉強会」当日には仏教婦人会、カトリック婦人会、エピスコパル婦人会、白鳩会(生長の家)など地元の婦人会仲間の参加もあった。レジストロには7月の寿司祭り、8月の盆踊り、11月の灯ろう流しなど広く知られた大規模イベントがあるが、それを支えているのはこれら婦人会群の活動だ。