ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)主催の定例昼食会が正午より、サンパウロ市インターコンチネンタルホテルで行われ、会員ら約180人が参加した。サンパウロ市サンタクルス病院より心臓内科医で技術部長の山野正一ジュリオ氏が来場し、「急性心筋梗塞について~予防と死亡率の低減~」をテーマに講演を行った。
急性心筋梗塞とは、冠動脈血管に流れる血液量が下がり、心筋(心臓を構成する筋肉)が壊死することで起こる病気。山野医師は典型的な症状として胸部もしくは上半身各所に強い痛みが起こり、それが20分以上継続すること、吐き気や嘔吐、発汗、顔面蒼白などの症状が伴うこともあることを説明し、「ブラジルではこの病気で毎年10万人の人が亡くなっている。現在の死亡原因のトップだ」と強調した。
最も一般的な診断方法は、瞬時に症状を判断できるという心電図とし、「診断後には出来るだけ早く心臓にカテーテルを入れ、血管を内部から広げるステントを入れることで心臓の筋肉を救うことが治療法になる」と解説した。
また、急性心筋梗塞による死亡の半数以上が発症後1時間以内に起こるというデータを示し、「何より早期治療が重要だ」と力説。特に心室細動の場合は、医師以外でも使用可能な医療機器AED(自動体外式除細動器)の活用を訴え、映像で使用方法を解説した。
発症のリスクは男性で45歳、女性は55歳以上で上昇する。遺伝や高コレステロール、高血圧、喫煙習慣などもリスクを増加させる要因だとし、「予防策はライフスタイル、食生活の改善、また人間ドック受診による早期診断だ」と予防を勧めた。