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講演会での梅田大使とアブレウ大臣
講演会での梅田大使とアブレウ大臣

アブレウ農務大臣が講演=「もっと日本の協力が必要」

 ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)の主催で16日、農務省サンパウロ州事務所においてカチア・アブレウ農務大臣を招き、「今後のブラジル農業政策、農業インフラ開発の重点について」をテーマに講演会が行われた。同大臣は7月に訪日して安倍晋三首相と会談を予定していることから、梅田邦夫大使の働きかけによって実現した。同大使、中前隆博在聖総領事、村田会頭はじめ各金融機関、食品関連会社、総合商社等31社から50人が参加した。
 農相は「ブラジルのGDPの22・5%、輸出の45%が農産物」と説明し、コーヒー、砂糖、オレンジジュースの生産量世界1位を強調した。農地を広げて達成したわけではなく、「過去40年で3倍の生産性」によるもので、その技術革新の要として「エンブラッパ(ブラジル農牧調査研究公社)」を挙げた。
 今後の計画として酪農業、特に牛乳の輸出を増加させる方針であることを説明した。現在米国、中国、インドに次ぐ第4位の生産量を誇るが、輸出量はわずかな数値に止まっているとし、今後ロシア等の地域に売り込む方針だという。
 さらに20年前に比べ鶏肉、豚肉、牛肉の3分野全てで生産量の増加を達成したとし、心配される衛生面についても「高い水準の審査をクリアしている」とし、輸出を増加させる意向だ。
 注目される「MATOPIBA地域」についても言及した。マラニョン、トカンチンス、ピアウイ、バイーア4州にまたがるこの州境地域では、近年インフラ整備が進んだのに伴い、穀物、食肉、牛乳等の生産が飛躍的に伸びており、特に大豆に関しては過去20年前の20倍の生産量を達成した。土地が安価なことからパラナ州や麻州などから農業移住者も増加し、今後20年間で20%の穀物生産量の増加を見込んでいる。
 課題としては「輸送網が未発達で物流コストが高い点」を挙げた。対策としてコンセッション計画を挙げ、既に中国が大陸横断鉄道に興味を示し、南北縦断鉄道、ルカス・ド・リオ・ヴェルジ―ミリチツーバ鉄道も同様の方式で入札する。
 鉄道以外にも麻州とパラー州を結ぶBR163などの幹線道路や空港、港湾など広範に渡って交通インフラの整備を進めていく方針を示した。講演後の質疑応答では食肉の安全性や環境問題の法令等に関する質問が交わされた。