世界最大のフェスタ・ジュニーナ(以下6月祭)が行われるパライバ州カンピーナ・グランデ市で6月祭ならではの食べ物を探そうとしたら、きっとがっかりすることとなる。ムングーザ、カンジーカなどのとうもろこしを入れたミルク粥、パモーニャ(とうもろこしの練り菓子)や、とうもろこしケーキに替わって屋台で売られているのは、クレープ、寿司、ピザなどだ。
同市の6月祭は、中心地の公園と2本の通りを1カ月間、歩行者天国にして行われる。教会や、カラフルなペンキの塗られた家を模した張りぼての間に野外ステージが立ち、アコーディオン、大太鼓、トライアングルの音が、ダンスミュージックのフォホーを奏でる。
しかし食べ物を探しに行くとき、6月祭の雰囲気は消えてしまう。レストラン、屋台、歩きながら売り歩く商人、どこを探しても、伝統のとうもろこしを使った食べ物にはありつけない。
ムングーザ、カンジーカを探し求めて歩いた挙句、ジエゴ・マルチンスさん(27・会社員)はタピオカ(キャッサバの根から作られるデンプンのこと、水で溶いて丸い生地にして焼いて、チーズやフルーツをはさんで食べる。ブラジルではありふれた食べ物)で我慢せざるを得なかった。マリーリア・マリオッチさん(24・学生)も、6月祭ならではの食べ物を諦めてホットドッグを食べ、「6月祭では食べ物が楽しみなのに見つからなかった」と嘆く。
数少ない6月祭伝統の食べ物を売る屋台のひとつでは、経営者のジョゼ・ダ・シルバさんが、買いに来る人が多いのでいつも、終宴まで2時間の深夜12時には売切れてしまうと語った。
需要に比べて供給が少ないことに目をつけたポリオン・アラウージョさんは、自分のサトウキビジュースの屋台でも6月祭伝統フードを扱うことにした。「ここではアラブ料理、アメリカ料理、メキシコ料理はあるけど、唯一、地元の料理だけがない」と語る。
パライバ民俗学委員会会長のジョゼ・アウグスト・モラエスさんは、世界中の食べ物が入ってきて、地元の食べ物が駆逐されていく現状に対し、「こんなことでは6月祭祭の特色が薄れてしまう。いろんな文化が入ってくることはもちろんいいことだが、アイデンティティを失ってはいけない」と語った。
今年のカンピーナ・グランデ市の6月祭は、6月9日から7月5日まで開催されている。(6月27日付フォーリャ紙より)