【既報関連】訪米中のジウマ大統領は6月30日、ホワイトハウスで、米国へ頻繁に旅行する人たちの同国入国を簡易化する「グローバル・エントリー」にブラジルも加入することで合意が成立したと発表した。また、昨日も報じた森林伐採の宣言に関しても具体的な目的をかかげた。1日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領は米国入国時におけるブラジル人のビザ取得義務撤廃も望んでいたが、それは継続審議となった。両国はビザ取得義務の撤廃に関して長年協議しているが、旅行者の犯罪歴の有無を提示するよう求める米国と難色を示すブラジルのあいだで物別れに終わっている。
だが、「グローバル・エントリー」への加入は前進し、2016年半ばには機能しはじめるように準備を行うことになった。この制度は、ジャーナリストや企業関係者など、頻繁に渡米する人が入国の際に長い列に並ばずに済むようにする対策で、現時点での加入国はドイツ、オランダ、パナマ、韓国、メキシコ、カナダの6カ国のみという貴重な特権だ。
「グローバル・エントリー」の適用を希望する人は100米ドル(約310レアル)を支払い、面接や犯罪歴確認などの審査を受ける必要がある。合格者は5年間、旅券または指紋の照合だけで米国に入国できる。
環境問題に関しては、2030年までに「不法伐採ゼロ」と「1200万ヘクタール(サンパウロ州全体の面積の48%)の再植林」の2点が宣言された他、クリーンエネルギーに関する会議の開催などが決まった。
また、両国国民が相手国内で働いていた間にかけた社会保障費の積み立ては、双方で認めることも合意が成立した。
2013年のスノーデン事件以来、両国の関係は冷え込んでいたが、今回のジウマ大統領の訪米は雪解けの雰囲気で行われた。同日の両大統領の記者会見はにこやかな雰囲気で行われ、両者共に会談の手応えを語った。
オバマ大統領は、ブラジルが政治的な危機に直面していることを認めながらも「ジウマ大統領を全面的に信用する」と語り、両国の信頼関係の強さを強調した。同大統領としては、11月の気候変動枠組条約締約国会議に向けて、ブラジルに目標を持った森林伐採の宣言を取り付けたこと、前日6月29日に両国の安全確保のための技術・情報などの相互提供などの軍事協約を取り付けたことで収穫を得たとされる。
ジウマ大統領は共同宣言後の昼食会で、主催者のジョー・バイデン米国副大統領に、同氏が14年のサッカーW杯や今年のジウマ第2政権発足時に来伯するなど、様々な形で両国の関係修復のための働きかけを継続してくれたことで今回の訪米が実現したと、感謝の意を述べた。