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カズーザが没後四半世紀=未発表の詩を元に作品発表へ

 80年代にブラジルのロック・ブームを牽引したカズーザ(本名アジェノル・アラウージョ・ネット)がこの世を去ってから、7日で25年を迎えた。
 カズーザは軍事政権が終わり、民主主義を回復した頃のブラジル社会の象徴のひとりだ。軍政終焉直後の「ロック・イン・リオ」で自身のバンド、バロン・ベルメーリョで人気者となり、その直後にソロに転じた。
 しかし、すぐにエイズ発症が発覚。カズーザは痩せ衰える体を隠そうともせずに精力的に音楽活動を展開し、高い人気を保持し続けたが、90年7月7日に力尽き、帰らぬ人となった。
 その後もカズーザは伝説のように語られ、2004年には自伝映画がヒットしたほか、もろもろの企画で知られているが、とりわけ作詞家としての評価が高い。それは今年3月の反ジウマ大統領デモで、彼の曲「ブラジル」が民衆のプロテスト・ソングとして歌われたことでも示された。
 最近は、彼の没後四半世紀にちなみ、ラジオでも代表曲「エザジェラード」がよくかかり、雑誌の表紙も飾っていた。
 そんなカズーザだが、これから先も企画が目白押しだ。目玉となるのは、カズーザが生前に残した未発表の詩、65篇に新たに歌をつけた楽曲集で、今年後半に発表される予定だという。
 参加者も豪華で、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルといった彼の先輩格のアーティストや、幼友達のひとりでボサノバ歌手のベベル・ジルベルト、人気ロックバンド、ジョッタ・クエストのロジェリオ・フラウジーノやR&B歌手のセウ・ジョルジといった、カズーザより一回り若い世代のアーティストが参加している。
 カズーザの歌詞の魅力について、生前は短い期間ながら彼の恋人でもあった先輩格のベテラン男性歌手のネイ・マットグロッソは、「あの頃(軍政終了直後)は優れた作詞家も多かったが、カズーザのようにあえて傷口に手を触れ、ハッキリと歌いあげる人はいなかった。聡明で世界に向けて歌を歌った人だった」と振り返っている。
 また、カズーザの実母ルシーニャ・アラウージョさんによるカズーザの回想録「ソー・アス・マインス・サン・フェリーゼズ」「カズーザ~プレシーゾ・ディゼール・ケ・チ・アモ」の改訂版も年内に再販される見込みだ。(7日付フォーリャ紙より)