南大河州の連邦警察は6日、アルゼンチン(以下、亜国)の軍部独裁政権時代(1976―83)に拷問などを行ったとして指名手配されていたが、ブラジルで10年以上に身を隠していたロベルト・オスカル・ゴンザレス容疑者(64)を逮捕したと8日付エスタード紙が報じた。
同容疑者は、数百人の亜国人に対して誘拐、不法監禁、拷問、脅迫、ジェノサイド、窃盗を行った容疑がかけられている。
同容疑者の名前は、亜国法務省が作成した54人の軍事政権時代の犯罪容疑者リストに載っている。亜国法務省は、同容疑者の所在情報に50万ペソ(5万5千米ドル相当)の懸賞金をかけていた。
同容疑者は国際刑事警察機構(インターポール・ICPO)の捜査対象ともなったが、ブラジル南部に身を隠し、貿易業のオーナーとして生きていた。だが、ブラジル最高裁が亜国の要請で逮捕令状を出し、ブラジルでも国際警察の捜査対象になっていることを知った同容疑者は裏の社会に身を隠した。
ここ数年は南大河州都ポルト・アレグレから25キロ離れた片田舎ビアモンの私有地に潜み、家畜で引く車を作って生計を立てていた。
数年前、ゴンザレス容疑者は秘密裏に、リオから逃れてきた軍政時代の同僚、ペドロ・オズヴァルド・サルビア(63)容疑者を受け入れ、匿っていた。
当時よりICPOは2人を追跡していた。2人の発見は些細なことだった。ゴンザレス容疑者の亜国時代の会社の名義だったプジョー車で起こした交通違反の罰金がきっかけで、刑事は2人を発見した。
刑事が現場に到着すると、同容疑者は抵抗もせずに捕まった。「軍政時代に部下を率いて1200人は殺したと認めた。落ち着いた様子で、愛国心からやったことだと述べた」と警察は語った。
ゴンサレス容疑者の身柄は、亜国送還手続きが終了するまで、ブラジル司法当局に置かれる。