ペトロブラス(PB)関連の疑惑解明のための下院の議会調査委員会(CPI)は9日、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相(労働者党・PT)の召喚を決め、同法相もそれに応じて証言を行うことにした。これには連邦政府側の思惑がある。10日付伯字紙が報じている。
カルドーゾ法相の召喚は、昨年4月にラヴァ・ジャット作戦(LJ)の主犯アルベルト・ユセフ容疑者が収監されている房に盗聴器が仕掛けられていたのが発覚した件に対する説明を求めたものだ。連邦警察は同法相召喚はLJの捜査を妨害するためかと懸念したが、現時点では捜査への影響はないと見ている。
同法相の召喚は、連邦警察官のダルメイ・ベルラング氏とジョゼ・アルベルト・イエガス氏が先週のCPIで、盗聴器は司法当局の許可を得ずに設置され、実際に機能していたと証言したのを受けて決まった。連邦警察内の調査ではこの盗聴器は機能していなかったと報告されていたのに、食い違いが生じたことで、連邦警察の最高責任者である同法相の責任を問う声が出てきていた。
CPIのメンバーには法相と同じPTの議員もいたが、同法相召喚への反対はなかったという。それはPTの中で、同法相が連警の捜査を制御せずに野放しにさせているとの不満があるためだと伯字紙は報じている。
カルドーゾ法相はこれに対し、「事実解明のためならCPIに出向いて協力するのは何の問題もない」と意に介していないことをアピールした。
エスタード紙の見解によれば、同法相の召喚対応は連邦政府やPTの意向でもある。これは、UTC社のリカルド・ペッソア被告の報奨つき証言で名前が挙がった、PT所属のアロイージオ・メルカダンテ官房長官やエジーニョ・シウヴァ社会通信局長官のCPI召喚を阻止するためだ。
連邦政府は、官房長官や社会通信局長官が召喚されれば、ジウマ大統領など、同氏の証言で浮上した人物もCPIの召喚リストにあがるのではないかと懸念しており、召喚に応じても害の大きくない同法相をいわば「おとり」にした形だ。
ミシェル・テメル副大統領(民主運動党・PMDB)も、CPI委員長で同党所属のウゴ・モッタ下議にメルカダンテ氏とエジーニョ氏を召喚しないように説得しているという。
またPTは、元官房長官のジョゼ・ジルセウ氏に対する召喚も恐れている。それは、メンサロン事件の主犯として実刑判決を受けた同氏がLJでも逮捕されれば、ルーラ前大統領にも捜査が及ぶのが避けられなくなるとの懸念があるためだ。
なお、CPIの召喚リストには、オデブレヒト社やアンドラーデ・グチエレス社の社長ら(共にLJで逮捕済み)の名前も入っている。
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