昨年のW杯でのドイツ戦での大敗以来、「選手育成の重要性」が語られるようになったブラジル・サッカー界。だが、求められているのは、新しい選手だけではなく、その選手を育てる「新しい監督」の存在も待たれている。
13日付アゴラ紙は、「ブラジル・サッカー界期待の若手監督」として3人の監督を紹介している。いずれも年齢は50歳以下で、国内のチームを率いたキャリアは少ないながら、全国選手権で好成績をあげている監督たちだ。
1人目のエドゥアルド・バチスタ監督(45)は、ブラジル・サッカー界では弱小地区となる北東部ペルナンブッコ州レシフェのチーム、エスポルチを率いている。通常、北東部のチームといえば、全国選手権1部での降格争いから逃れれば良い方だったが、現在のエスポルチは優勝争いの一角に食い込む好成績(6位)をあげている。
エドゥアルド氏は、現在Jリーグのヴィッセル神戸を率いているネルシーニョ監督の息子だ。ネルシーニョはJリーグのヴェルディ川崎、名古屋グランパス、柏レイソルでも監督を務めた経験があり、日本ではおなじみの存在で、息子も父の後を継いだ形だ。
エドゥアルド氏は選手時代に才能のなさを父に指摘され、父の元でコーチ修行を重ねていたが、2011年、父が柏レイソルの監督時代に東日本大震災を経験した後にブラジルに帰国した。これは家族の日本での生活を心配した故だが、父からの巣立ちの時期でもあった。エドゥアルドは昨年からエスポルチを率いており、2部へのエレベーター・チームに安定した成績をもたらしている。
続いては、現在8位で健闘中のアトレチコ・パラナエンセのミルトン・メンデス監督(50)だ。ミルトン氏は13年間、選手としてポルトガルで活動した後、同地に残ってサッカー監督の学校に通い、ヨーロッパ・サッカーの監督免許で最高レベルの「Uefaプロ」を取得した。ブラジルのサッカー・リーグでこの資格を持っているのは、現サンパウロの監督で「コロンビアの名匠」と呼ばれたフアン・カルロス・オソーリオと彼の2人だけだ。
3人目はグレミオ監督のロージェル・マシャド氏(40)だ。ロージェル氏は現役時代にセレソンに選ばれたことがあるが、監督としても早くも才覚を表している。
ロージェル氏が指導者に魅力を感じたのは、2001年に当時彼が選手として所属していたグレミオに現コリンチャンス監督のチッチ監督が就任してきたときだった。その時、チッチ監督に見せてもらったフロッピー・ディスクに入っていた様々な分析に魅了されたロージェル氏は、11年からグレミオでコーチ修行を積み、リオ・グランデ・ド・スル州の小さなクラブで監督を務めていたが、今年になり、前任のフェリポン監督の辞任に伴い、グレミオ監督に就任した。現在の成績は4位で、心の師匠、チッチ氏率いる3位のコリンチャンスのすぐ下につけている。
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