ブラジル五輪委員会(COB)は、現在カナダで開催中のパンアメリカン大会で、軍所属の入賞選手が表彰台で敬礼のポーズを取っているのは、軍の規律と選手の愛国心の表れに過ぎないと擁護した。
柔道の場合、表彰台に上がった軍所属の選手ほぼ全員が敬礼をして衆目を集めたが、表彰台で敬礼した軍所属の選手は水泳、ボート、バドミントンなどでも見られた。大会5日目、15日までの段階でブラジルが獲得した55個のメダルの内、26個が軍所属の選手によるものだった。
軍所属の選手は123人おり、ブラジル選手団総勢590人の2割強を占めている。前回大会は70人で、選手団の13%だった。
「国旗掲揚の際に敬礼するのは軍から推奨されている行為で、我々も誇りを持って行っている。軍の精神と共に自主的に行っている」そう語るのは女子柔道で銀メダルに輝いた、10年より海軍3等軍曹のマイラ・アギアールだ。
スポーツ選手が軍所属になる動きが加速したのは、11年にリオで開催された軍人スポーツ選手のための「ミリタリー・ワールドゲームス」直前の事だ。軍のサポートを受けるため、さらに平均2300レアルに及ぶ月給を保障されるため、選手達は陸、海、空軍にそれぞれ所属した。
軍との期間限定契約は最大8年に及び、選手達は6カ月毎に1週間、軍事訓練にも参加する。女子柔道のマイラは射撃訓練を受け、男子柔道金のルシアーノ・コレアは密林でのサバイバル訓練を受けた。
COB広報・教育担当ディレクターで陸軍将軍のアウグスト・エレーノ氏は、「全ての選手がおよそ2カ月に及ぶ合宿、行進、警備、綱渡り、射撃訓練を行った。その過程で敬礼の習慣も自然と身についたのだろう。誰も敬礼するように命令はしていない」と語った。
国際五輪委員会(IOC)は五輪表彰式での政治的アピールを禁じており、パンアメリカンもそれに倣っている。COBも、表彰台の敬礼は政治アピールではなく、愛国心の表れだとしている。
スポーツと人間科学を研究している、パラナ連邦大学のアンドレ・カプラーロ教授は、「敬礼する姿を見るだけで軍政復古と結び付ける人はいないだろうし、政府が脅威に感じることもないと思う」と述べた。(16日付エスタード紙、フォーリャ紙より)